第14章 For your happiness
「和さん、ちょっと待ってて」
立ち上がり雅紀は目の前のお土産屋に入って行った。暫くするとぬいぐるみを手に帰ってきた。
「はい、クリスマスプレゼント」
そう言って手渡されたのはモルモットのぬいぐるみ…
「ありがと…」
実物より全然手触りが気持ちいい…そういう風に作られてんだろうな。
「これ超気持ちいいな、触ってるだけで癒される」
さわさわと撫でながら雅紀に言うと
「ほんと?喜んで貰えた?さっき凄く楽しんでたからさ、本物連れて帰れないけどぬいぐるみならいいかと思って」
「確かに本物貰っても困るわ…」
「それなら困らない?」
「うん、ずっと撫でていたい」
頬に当ててすりすりするとモルモットの首に付けられた物が目に入った。
「雅紀…これ…」
「ん?それもプレゼントだよ」
赤いリボンで結ばれたそれをはずして手のひらにのせじっと見た。
「和さんの趣味じゃないのはわかってるんだけどさ、どうしてもあげたくて…持っててくれるだけでいいから貰ってくれない?」
雅紀の顔を見るといつもの笑顔はなくて…緊張してるんだろ?俺が突き返すと思って…でもさ、今日はお前の誕生日じゃん、なんでもしてやるって決めてたから…
手のひらを雅紀の目の前に出し
「つけてくれる?」
そういうと雅紀の顔に最高の笑顔が戻った。
「うん」
俺は左手を差し出すと雅紀が薬指にそれをはめた。
「今日、女装しててよかったな…じゃなきゃつけてやらなかったぞ?」
「うん、ありがと和さん」
雅紀の暖かい腕にくるまれた。
「俺こそありがと…」