第14章 For your happiness
はぁ~、ほんと女って怖いな…プライド傷つけられて引くに引けなくなってんだろうけどさ。あ~、めんどくさ。でも、雅紀をほっとくわけにいかないし…しゃあねぇ、ひと芝居打つか。
「まさき~」
俺は小走りで雅紀の元へ駆け寄ると雅紀の腕に腕を絡めた。
「雅紀、待たせてごめんね?」
申し訳なさそうな顔をして上目使いに雅紀を見つめると雅紀の瞳が見開かれた。その後ふっ、と笑みを溢したのを確認し俺はふたりの女に視線を送った。
「雅紀、だぁれ?この人たち」
「え?あ~、知らない人…お茶に誘われたんだけど俺には和さんだけだからお断りしてたとこ」
「へぇ、雅紀ってモテるんだねぇ…でもゴメンね、この人私にベタ惚れだからあなたたちの出る幕ないよ?大体あなたたちと雅紀じゃ不釣り合いだから」
ニッコリと笑い更に雅紀の腕にしがみつくように体を寄せる。
「なにそれ!暇そうだったから声掛てあげただけじゃない!」
「そうよ!別にカッコいいとか思った訳じゃないから、勘違いしないでよ!行こっ!」
ふたりの女が逃げるように立ち去ると雅紀が俺のことを抱きしめた。
「和さん、超可愛いいっ!俺、心臓止まるかと思ったよ」
「大袈裟だよ、バカ…」
「大袈裟じゃないよ、今のふたりだって自分たちが敵わないって思ったから引いたんだよ?」
「今のふたりは全然可愛くないじゃん、化粧ばっかり濃くてさ…あんなのと比べられても嬉しくないよ」
「比べてないよ、だって天使だよ?」
「は?誰が?」
「和さんに決まってるでしょ?そんな白い綺麗な肌して真っ白なコート着て黒のロングヘアーって、天使にしか見えないから」
「お前、目悪すぎ…」
雅紀に誉めてもらえて嬉しいんだけど恥ずかしくて素直にありがとうが言えない…こういうとこ変わらないんだよなぁ、翔ちゃんなら頬を染めながら『ありがとうございます』って言うんだろうけど。