第1章 promise
「ごめん、櫻井」
「なんで謝るんですか?」
「今でもその子のこと好きなんだろ?
それなのに俺、近くにいなくてよかったな、なんて…」
櫻井が驚いた顔をした。
「なんで今でも俺がその子のこと好きなんて思うんですか?」
「今、櫻井悲しそうな顔した…
だから今でも好きなのかなって…」
櫻井は目線を下げ微笑んだ。
「正直自分でも分からないんです
まだ幼かったから、あの時の『好き』の気持ちがどういったものなのか…
でも大好きだったことだけは覚えてて…
好きなまま離れたから、勝手に恋心に育っていったのかな、とも思うんです
まぁ、忘れられない人には間違いないんですけど」
そう言って照れたように笑う櫻井は可愛くて、櫻井にそんな表情をさせる思い出の中のそいつに俺は嫉妬した。
「大野さん」
「おぅ、どうした?相葉」
「和さんやっぱりトイレで寝てたんで、俺送って行きますね」
「え?ニノの家知ってんの?」
「はい、この前聞いたんで」
「お前スゲーな~」
「え、なんでですか?」
相葉が驚いた顔をする。
「だってニノ、プライベートな事はよっぽど気を許した奴じゃないと話さないから
この短期間によくそこまで聞き出したなぁ」
「そうなんですか?
俺、ちょっとは望みあります?」
相葉が嬉しそうな顔をした。
「いや、それは分かんね」
「なんだぁ、まあ、いいや
取り合えず和さん送って行きますね」
「おぅ、よろしく頼むわ」
「はい、それじゃあ、お先失礼します」
「お疲れ」
小さく手を振って見送る櫻井。
なんでイチイチ可愛いんだよお前は…