第1章 零、始まりは突然に。
「~♪………?!」
時は流れ、私はもう小学生です。
…でさ、中学生っぽい…
――…戸田ちゃん発見したんだけど。
…え、なにこれ夢ですか?あれですか?転生昔にトリップですか?GJ。
よし、これはあれだ。ベタに目の前で転んで助けてもらおう!←
クラウチングスタートの構えをとって走ろうとしたとき。
?「さや。」
目の前に男の人と女の人が。
…あれ、なんか…見たことある。
…ん?…というか、…『さや』?あれ…?あの男の人と女の人って…。
一気に頭のなかで物事が整理された。
…『さや』って『当麻紗綾』?…あの二人…だって女優さんと俳優さんだよね、…え。私は…
――…昔にトリップしたんじゃない。
『SPEC』に来たんだ。
さっきまでのニヤケ顔が青く染まっていくのが自分でもわかった。
――…ヤバイ。
私の本能がそう告げた。
わたしが戸田ちゃん…『当麻』に関わることは、すなわち危険を表す。
いや、私だけが危険ならいい。自分の命より戸田ちゃんと関わることを優先する。
『当麻に関わる』=『家族の危険』だ。
原作にはむやみに首を突っ込めない。
…大丈夫だ。私の家は誰も『SPEC』なんてもってない。
「――…大丈夫だ。」
ゆっくり…しかしはっきりと、自分に言い聞かせるように小さく呟いた。
私の顔から血の気が引いていたらしい。
真っ青で帰ってきた私を、二度目の『おかあさん』は優しく抱き締めてくれた。
いのちのほしょう