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君と回る世界

第4章 君と一緒なら…


コンビニで仕事をしていたくせに

今になって気付いた…


私の回りには

こんなにもたくさん村上さんが

いたんだってことに



家でテレビを見ている時も

ラジオを聞いてる時も


お店でこうして

雑誌を並べていても


探して見れば

村上さんは私のすごく近くに

いつもいたんだな(笑)



それが嬉しい反面


今は…


雑誌を並べながら

表紙に映る村上さんの笑顔を

見るたびに


胸がぎゅっと締め付けられて

苦しくなってしまう…



お客さんが来て手に持っていた雑誌を置き

レジに戻り

商品を袋に詰めていると


隣にいたバイトくんが



「花田さん…大丈夫ですか(汗)?」


なんて驚いた顔で聞いてくるから



「何がですか…?」



そう言って首をかしげると…


ポトリと温かい雫が手のひらに落ちてきて



あぁ…私今泣いてたんだ…


そんなことに気付かされる…(笑)




仕事が終わって1人で歩く帰り道…



相変わらず私の右手の袋には

お弁当とアイスが入っていて



下を向いたまま

袋を揺らし歩いていると


いつものように


「仕事お疲れ様(笑)」


笑顔の岡村さんが現れて

私の隣を嬉しそうに歩き始める…



これまたいつものように


私の隣で一人喋り続ける

岡村さんを無視し家までの道を歩き




アパートの中に入ろうとした瞬間

突然岡村さんか私の手を掴んできて



「俺…やっぱりお前のことが好き(笑)」



なんて…


私にとって一ミリも嬉しくない言葉を言うと

満足げに私に笑いかけてくる…



そんなげんなりする

岡村さんの笑顔を前にため息を吐き出し



「私は…あなたが大嫌いですけど…?」


そう言って捕まれた手を振り払うと…



「今さら照れんでもいいって(笑)」



なんて相変わらずのポジティブに

私の言葉を無かったことにして



私の肩を掴むと

懲りもせず目を閉じ顔を近づけてくる…



いい加減


抗うことにも…

逃げだすことにも疲れはて



これが私の運命なのかも…(涙)


そう諦めかけた瞬間



「こぉらぁ…!!」


そんな叫び声と一緒に

私の腕を力強く引き寄せる手に


閉じかけた目を

パチリと開いた…(汗)
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