第1章 新しい主。
長谷部「いえ、やはり聞くのはやめておきます。それではなにかあったらこのオレを呼んでください。」
長谷部は簡単に礼をした後、なにも言わずに悲しそうな横顔を見せながら襖を開け帰っていった。
先程の独り言を聞いていたのかもしれない。
「心配されたかな……」
ダメだな私。なにもかもがダメだ。恋愛だって駄目だし結婚運だって駄目だ。仕事も駄目だし、その上料理もできない。着物の着付けも下手くそだ。
だから、求婚を断られたのだろうか。
「総司くんの愛刀にも嫌われちゃうし……しかも総司くんにも嫌われてるし。もう……誰か愛してよ。つらかったねって言ってよ。」
先程から自虐的な言葉しか出てこない。
ここ、何百年間不幸すぎる。けれども、ここの本丸を持てたことはここ何百年間のなかで一番の幸せかもしれない。
私はパチンと自分の頬を叩いた。
いつ総司くんが迎えに来てくれてもいいようにきちんと笑ってようと思っている私は馬鹿なのでしょうか。