第6章 2人の距離 6
「なに言ってんのよ。…駄目な訳ないじゃん」
フフッと笑うと、ありがとうございます。と嬉しそうにしていた。
きっと俺にはわからないくらいに辛い出来事だっただろう
それでもそんな姿見せることもない由梨はいつも優しくて
泣いてしまうこともあるけど基本的にはぐっと堪えて気丈に振る舞い相手を気遣う由梨
そういう部分は凄く魅力的で尊敬できる。
まあ、俺は内の部分読み取っちゃうんだけど。
俺が気を遣うんじゃないかとあの子の事を聞くのも優しさで。
馬鹿なんじゃないかってくらい真っ直ぐな目をしていた。
「きっと。俺さ。由梨じゃなかったら出来ないな。結婚」
俺がそういうと、へ?と返す
「…なに言ってるんですか!出来ますよ。和さんなら。……だって。こんなに優しい気持ちになれるんですよ?…こんな人。初めてです。」
へへ。と笑いながら言うので、ありがとう。と今度は俺がお礼を言った
「いや、でもさ。多分無理よ?…だって俺、普段殆ど外に出ないし、もっぱらゲームだし。感情薄いし…何時に帰ります。とか保証出来ないし。」
飯食いに行くのも突然決まるからなー。とつまみを食べながら言うと何故かフフッと笑われた
「前にね、和さんのお母さんとお姉さんに言われたの思い出しちゃいました。」
好き勝手してるんじゃないかって。と続けるので、あぁ。と答える
「それね。良くメールくるよ俺も。好き勝手し過ぎて愛想尽かされたらどうすんだ。とか。俺なんも言ってないのに既に認定だからね。」
クスクスと笑い出す由梨につられて俺もフフッと笑う
「んー。でも。私はそれくらいが気持ちが良くて好きですよ?…お互い様じゃないですか?…それに、なんか不思議とそれが嬉しいんですよね。私の勝手も許されている気がしてなんでしょうか」
「あと、和さんの感情が薄いなんて思った事ないです。人それぞれ考え方や感じ方は違うんだし。…私はそんな和さんだから落ち着くんだなって思ってます」
フフッと笑いながらそんな事をサラッと言えてしまう由梨は心が広過ぎる。
というか、騙されてる。
散々弄り過ぎているこの生活に由梨は何も疑問に思わないのだろうか。
まぁ、何も思わないんだろうな。
考えながらククッと笑ってしまう