第5章 魅惑の女性
デザートライオンとの試合は3-2で辛くもイナズマジャパンが勝利した。前半で体力を消耗してしまったイナズマジャパンのピンチを救い、この試合の要となったのは後半綱海に代わって投入された宇都宮虎丸だった。
今までずっと消極的なプレーをし続けていた虎丸、それはかつてのチームで、あまりの実力の高さゆえに浮いてしまったということが理由だった。だから今までイナズマジャパンという日本代表に選ばれても自分を抑えたプレーをしていたのだと試合後に彼自身の口から語られた。
そのトラウマを払拭したのは彼が憧れる豪炎寺で、例によって治療シュートを虎丸にお見舞いし、ここにはお前を受け止められないやつはいないと虎丸に告げた。そこからは虎丸の独壇場で、カタールもそしてイナズマジャパンの面々も驚くような軽快なプレーを炸裂させ、彼の必殺技タイガードライブで決勝点をもぎ取った。
アジア予選準決勝を勝ち抜いたことで、残すは決勝戦のみとなった。対戦相手も既に決まっている。反対側のブロックの準決勝を勝ち抜いてきたのは元々優勝候補と名高かった韓国、ファイアードラゴンだ。この試合に勝ち、アジア予選で優勝しなければ本当の意味で世界とは戦えない。
「オーストラリア戦とカタール戦、二試合を戦ってみんなも世界のレベルの高さを実感したと思う。アジア予選を勝ち抜き世界大会へと進むためにはより強力な必殺技が必要だ」
そのためにと朝食の最中にも関わらず鬼道がミーティングを始めた。今日の練習メニューの変更が必要になる案件だからだ。花織は各テーブルを回って水を注いで回っている。だが話に耳は傾けていた。
「風丸、日本代表メンバーを決める紅白戦でお前が綱海を抜こうとしたときのことを覚えているか?」