第16章 エピローグ
巡り巡る時間と空間を越えたその先に待つのはいったい何だろう。
フットボールフロンティア・インターナショナル。少年サッカーの世界一を決める大会で円堂守率いるイナズマジャパンが優勝してから、十年の歳月が流れた。あれから何度も季節が廻った。日本に空前のサッカーブームを巻き起こした少年たちはひとつひとつの節目を迎え、確実に年を重ねて大人になった。そしてそれぞれの道を歩き始めている。今も、サッカーというひとつのスポーツによって繋ぎとめられながら。
涼やかな風の吹く日のことだった。木枯らし壮という少し古びた体のアパートに見慣れない客人が訪れいた。その人物は長い美しい黒髪をその風に靡かせて、木枯らし壮敷地内へと足を踏み入れる。風が髪を乱そうとも、彼女は優雅とも呼べる仕草で髪を耳に掛けた。白いしなやかな腕を伸ばして、細い指先で呼び鈴を押す。
「はーい」
呼び鈴を鳴らしてから数十秒後、肩ほどまでに髪を伸ばした緑色の服を着た女性が中から顔を出す。彼女はかつて雷門中学サッカー部のマネージャー、そしてイナズマジャパンのマネージャーを務めた木野秋。今はこの木枯らし壮の管理人としてここに住まっている。彼女は目の前に立つ、懐かしい客人を見つめて嬉しそうに表情を綻ばせた。
「こんにちは、秋ちゃん」
「花織ちゃん……。久しぶりだね!元気にしてた?」
そう、秋を訪ねてここへやってきたのは月島花織。秋と同じくマネージャーとして雷門、そしてイナズマジャパンの選手たちをサポートしていた一人である。彼女は中学の頃よりもチャームポイントと呼べる黒髪をさらに髪を伸ばし、顔立ちもあの頃より大人っぽさを増していた。
「久しぶり、私は元気にしてたよ。秋ちゃんは?」
「私も。ね、ここじゃ何だから上がって?お茶もお菓子も準備できてるの」
秋がにっこりと花織に笑いかける。中学の頃から変わらない優しくて親しみやすい彼女の笑顔。花織はその笑顔に微笑みを返すとお邪魔します、と挨拶をして木枯らし壮の中に足を踏み入れた。