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諸恋

第14章 スタートライン




まだ少しだけ肌寒い朝に、カーディガンを羽織る。鏡に映る自分の姿を見つめて、今日でこの制服を着るのは最後なのだとおもうと、とても感慨深い気持ちになった。一つ一つボタンをはめ、静かに思いに耽る。家を出るにはまだ少し時間が早い。そう思い彼女は自らの勉強机に向かった。机の上に置かれた一通の手紙を手に取る。封筒には”Dear カオリ”と筆記体での英語と慣れないカタカナ文字が書いてある。花織は封筒を開け、中の便箋を取り出した。こうして彼がくれた手紙を読むたびに思い出す。あの日の激闘を。イナズマジャパンが世界一になった日のことを。

***

タイタニックスタジアムで行われた、コトアール代表リトルギガント対イナズマジャパンの試合は熾烈を極めた戦いであった。両チームは全力でぶつかり合い、どちらが勝つのか最後まで全く予想できない試合展開であった。それでもイナズマジャパンは彼らのサッカーを突き通し、勝利を手にしたのである。試合終了のホイッスルが鳴った時、皆フィールドに駆けだして手を取り合って優勝を喜んだ。

「一郎太くん!」

花織もフィールドに駆け出て風丸に飛びついた。風丸は花織のことを受け止めぎゅっと背中に腕を回してくれた。

「花織……っ。やったんだな、俺たち」
「うん!」

喜びでもみくちゃになりながらそれでもふたりは強く抱き合った。紙吹雪の舞う中表彰式が執り行われ、キャプテンである円堂が優勝カップをその手にした。そしてイナズマジャパンがピッチを去ろうとしたその時だった。

「カオリ!」

花織はウィンディに名前を呼ばれた。隣に立っていた風丸と共に声の主を振り返る。ウィンディは晴れやかな顔をしていた。髪を靡かせて花織の元へ歩み寄り、風丸の隣にいる花織に手を差し出した。
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