第13章 ふたりの軌跡
コトアール襲撃事件が収束して、コトアールエリアは復興が始まった。花織はあの告白以来会っていなかったウィンディに連絡して彼らの無事を聞いた。コトアールの選手はロココが軽い負傷をしたものの、決勝までに完治するだろうと言っていた。これですべてが解決した、あとはFFI決勝戦を残すのみとなった。チームには夏未もチームに戻ってきて、イナズマジャパンの結束力は益々強くなった。
コトアールとの決勝戦を明後日に控えた今日、イタリア代表オルフェウスが練習試合に来ていた。コトアールとの試合で体感したことをそのままイナズマジャパンに伝えたいといってここまで来てくれたのだ。練習試合を終え、普段よりも早く今日は練習を上がることになった。選手たちは各々、自由に時間を過ごすことになったのである。
花織は今、ひとりで買い出しに出ていた。明後日のコトアール戦に向けて色々と準備をしなければならない、なんといってもFFIの、世界大会の決勝戦なのだから。万が一にも不備があってはいけない。必要なものを買い終えて宿舎に戻ろうと歩く。ふと向かい側の歩道、目を凝らしたその先に見慣れた青い髪が見えた。
「えっ……?」
目を疑った。花織は思わずその場に立ち尽くしてしまう。小さく開いた口から声が零れる。彼女の目に映ったのは間違いなく冬花と花織の恋人の風丸の姿だった。
……どうして?
車道を挟んで向かい側の歩道を並んで歩く二人の姿に、花織は胸が握りつぶされたような感覚を覚えた。自分の視覚から入ってくる情報を疑おうとするけれども紛れもなくそれは彼と冬花で。
見える景色が、音が自分から遠くかけ離れた世界のものであるかのように認識できなくなっていく。花織は息の仕方が分からなくて苦しくなって顔を顰める。買い物をした袋がドサリ、と音を立てて落ちたけれども気に掛けることすらできないほど彼女は動揺していた。