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諸恋

第12章 彼の秘密




とにかく丸く収まりそうでよかった、と花織は先刻のミーティングを思い返しながらマネージャー業務に徹していた。それにしても鬼道が知らぬ間にそんな危ないことをしていたなんてと思う。先ほど大丈夫だったのかを鬼道に問うたが、彼は不敵に笑って問題ないと言っていた。意外にも大胆な人だ。

花織は食器の片づけを終えて食堂を出る。ふと廊下の奥に見慣れた青髪の姿がちらりと映った。彼の姿だ、と花織は一瞬目を輝かせたがその表情はすぐに曇ってしまった。

……また、冬花さんと一緒にいるんだ。

この頃、風丸が冬花と一緒にいる姿をよく見かける。冬花が記憶を取り戻したと言っていたがそれ以来、風丸と冬花が共に過ごしている時間は間違いなく増えていると思う。一体何を話しているのだろうか。居心地の悪い胸のモヤモヤが込み上げる。花織は自分のジャージの胸元をぎゅっと握って二人の姿を見つめた。楽しそうだけど、何を話しているんだろうか。風丸は照れくさそうに笑って、頭を掻いているのがここからでも見える。

……ウジウジしてもだめだよね。

花織は胸を抑えてふうと息をつく。見ていて勝手に嫉妬しているからこんなに気分が悪いのだ。二人に声を掛けて何を話しているのか聞いてしまえば、本当に他愛のないことで嫉妬する必要もないのかもしれない。声を掛けてみよう、花織は大きく深呼吸をして意気込む。さりげなく二人の方へ歩み寄ってできるだけ明るい声で風丸と冬花に声を掛けた。

「一郎太くん、冬花さん。何を話してるの?」
「……っ。あ、花織」
「……花織さん」

花織はふっと眉根を寄せる。今、明らかに冬花も風丸も花織が声を掛けたときにぎょっとしたような驚いた表情を見せた。二人とも繕ったように笑って花織の方を向き直る。花織に聞かれてはまずいことでも話していたのだろうか。若干の不可解な態度はあったものの、花織の方も何も気にしていないようなふりをして二人に笑いかけた。

「こんなところでどうしたのかなって思って。仕事も終わったしよかったら話に混ぜてほしいな」
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