第11章 麗しの花嫁
染岡と立向居が声を上げる。もしそうならば、チームにとって大きな実力アップに繋がるかもしれない。決勝トーナメントに進むことが決まった今、少しでも力になるものは取り入れておきたい。
「それが……、今フユッペが言った通りなんだ」
「はあ?それじゃ意味が分かんねえぞ」
染岡が訳が分からないと言いたげに立ち上がる。円堂はまっすぐ前を見据えて言葉を繰り返した。
「だから、心」
チーム全員の頭の上に疑問符が浮かぶ。風丸も首を傾げて円堂を見つめた。さらりと彼の髪が揺れる。
「キャプテン、どういうことなの?」
吹雪がチームを代表して円堂に問いかけた。円堂はノートを高く掲げてチーム全員に聞こえるように声を張る。
「技じゃないんだ。ここに来るまでに目を通してみたけど、このノートには必殺技のアイディアは書いてないんだよ」
染岡が黙って席に着く。円堂は続けた。
「だけどこの中には俺たちがこれから強くなるためには必要なことが書いてある。読んでみるぞ」
冬花が席に着く。円堂はノートを広げて中を読み上げ始めた。
「技を生み出す根源は心の強さである。新たなる技を生み出すには新たなる心を身に着けること」
チーム全員が円堂の言葉に耳を傾ける。
「心のその一、どんな時もあきらめない『ガムシャラガッツ』 心のその二、どんなに強い敵も恐れない『タチムカウユウキ』」
まるで格言のようだ。そんなことを想いながら風丸は円堂の言葉を聞く。
「心のその三、大切なものを守りたいと思う『ソコナシノヤサシサ』」
どくん。風丸は自分の心の中の深いところで、何か響くような感覚を覚える。大切なものを守りたいと思う、ソコナシノヤサシサ……。