第11章 麗しの花嫁
塔子とリカ、二人で手を合わせてポーズを決める。その二人の女神、という言葉に老人は何か思うものがあるようだった。
「おお、女神とはな……。素晴らしい」
「女神を名乗るならばとっておきの品を見せるとしようか」
そういって二人の老人は塔子とリカの前に二つの腕輪を差し出した。一つは白に青のラインが入り、翼の紋章が絵が描かれたもの。もう一つは紫に、グレーのラインが入り蝙蝠の紋章が描かれたデザインのものだった。リカがきらきらと目を輝かせて腕輪に見入る。
「これはライオコット島に古くから伝わるものじゃ」
「サッカーを司る天と地の王よりの贈り物なのじゃ」
腕輪は陽光を浴びてきらきらと淡く光を放っている。他の民芸品とはどこか違う、神秘的な雰囲気。
「すっごおい……。光ってるやん」
リカは完全にその腕輪に魅せられていた。一方塔子は趣味悪い、と一蹴してしまう。老人はさらに語り続けた。
「その名を伝承の鍵という」
「天と地の王の元へ導いてくれるぞ」
天と地の王、妙なことを言う老人たちだ。だがそんなことも気にしない様子でリカは腕輪を見つめる。そしてリカは白い腕輪と紫色の腕輪どちらを取るか見定め、白い腕輪を手に取った。
「おっちゃん、これいくら?」
「えっ!買うの?」
「アンタはこっち!!」
戸惑う塔子にリカは紫色の腕輪を押し付ける。老人はそんなふたりを見てお代はいらないと言った。それにテンションが上がるリカであったが、塔子は逆にそれを訝しんだ。
「綺麗やなあ……」
魅せられるがまま、リカは腕輪を自らの腕に嵌めようとする。だが指先まで腕輪を通してぴたりとその手が止まった。ふっと脳裏に一人の少女の姿が過ったのだ。間違いなく自分のために選んだはずの腕輪なのにこの腕輪を、どうしてもその子に送りたいと思った。
「おや、着けないのかね?」
老人が少し眉間の皺を深めて言う。リカはじいっと腕輪を眺めていたが、さっと自分の指先から外して荷物の中へと大事に仕舞い込んだ。
きっとあの子のことだ。あれ以来、お洒落もしていないだろう。たまにはアクセサリーの一つぐらいプレゼントしてあげないと。
「ああ、ちょっとな。この腕輪、ウチやなくてトモダチにあげようと思うんや」
思い浮かぶ黒髪の親友。こんなキラキラして可愛いものをプレゼントしたら、どんなに喜んでくれることだろう。
