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諸恋

第8章 遠ざかる光





いよいよ今日がイギリス代表ナイツオブクイーンとの試合になる。あれから練習にも気合が入って、選手たちは厳しい特訓を積んでいる。花織たちマネージャーはそれを最大限にサポートすることに力を入れた。

朝、起床時間よりも一時間も早いこの時間に花織は目覚めて合宿所の外にいた。南の島だからか朝が早く、日が暮れるのも遅い。花織はうんとストレッチをして、背筋を伸ばす。そしてよし、と呟いて目先の街道を見つめた。

散々今まで抜け出しを行って特訓をしてきた花織が、今になってそれをやめる、などとは思わない。初日からいつならば自分の練習ができるかを考え、海外だから夜間の外出は怖いと感じた結果、早朝のランニングが妥当だろうと花織の中で結論付けられた。

ジャパンエリアから海沿いにアルゼンチン、イギリスエリアを抜け、セントラルパークで折り返して戻ってくるランニングコース。このコースなら一時間と少しで戻ってこられるはずだ。

さら、と結い上げた美しい黒髪を靡かせて走り出す。戻ってきた後にシャワーを浴びる時間を確保するために、今のうちにできるマネージャーの仕事は終わらせてきた。そこまでして、彼女にはトレーニングを積む意味があった。

もっと早く、誰よりも速く、彼の隣で走っているために。

込み上げる不安を掻き消すように彼女はペースを保って走り続ける。走っていれば何も考えなくて済むからだ。
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