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諸恋

第6章 男女の違い




決勝戦、韓国対策にと監督が用意したのは何と泥で出来たサッカーグラウンドであった。足首まで浸るほどの泥の中でボールを蹴ったり走ったりするのだからそれはもう洗濯物は大変なことになっている。

普段は簡単に泥を落としてから洗濯機に掛けているのだが、こんな泥だかユニフォームだかわからないものを洗濯機に突っ込んでしまったら洗濯機が壊れてしまう。一度手洗いをしなければとてもではないが洗濯機は使えない。

「……ふう」

何度桶の水を交換したか分からない。一枚一枚洗うたびに水まで泥まみれになってしまうのだから困りものだ。花織は重たい洗濯物を抱えて歩く。たゆん、と花織の胸が揺れた。普段は抑えているものだから揺れてしまうのが気にかかった。でもこれが風丸との関係の刺激になるのならば、と花織は思う。

それにしてもTシャツの胸元がきつい。もう少しゆったりしたものを着ればよかった。と今更ながらに後悔する。手洗いし終えたユニフォームを洗濯機に掛けてまた洗い場へと戻る。花織自身も汗と泥とでぐちゃぐちゃだ。せっかく身綺麗にと思ってもやっぱり合宿中だからそう上手くはいかない。

「花織、大丈夫か」

ごしごしと洗濯板を使ってユニフォームの泥を落としていると、頭上から声がかかった。面を上げて彼女は微笑む。目の前に立っていたのが彼だったからだ。

「一郎太くん、お疲れさま」
「花織こそ。悪いな、洗濯の手間を増やしてしまって」
「仕方がないよ、監督がアレをやれって言うんだから」

泥のフィールドでの特訓には最初は選手たちも非難囂々だった。だが豪炎寺が率先して練習を始めたことにより、はじめは渋々ながらもそこでの練習を始めた。午前午後で着替えが必要になるから洗濯物が追い付かなくて花織は練習を見ずに洗濯係を引き受けたのだった。

「私なんかより一郎太くんのほうが大変だよ」

ゆっくりと立ち上がって花織が困ったように笑う。いつもならそんな花織の表情に愛おしさすら感じる風丸だが、今日はそれどころではなかった。リカの作戦通り、彼が彼女の変化を明確に感じ取っていたからだ。

いつも身に着けているTシャツがなぜか今日は胸元だけパツパツになっていて直接的に表現すると、とてもエロチックで目の毒だ。
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