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【イケメン戦国】恋花謳〜コイハナウタ〜

第18章 甘夏の謌【幸村】


「馬鹿美蘭!」

「…っ!何よっ!」

「俺が月のものなんか気にする訳ねーだろ?!」

「わたしが嫌なの!恥ずかしいし…」

「は?今更だろ??」

目の前の愛しい女は、なんとくだらないことに思い悩んでいたのか。

残念ながら、上手く安心させてやれる言葉は思いつかなかった幸村であったが、

美蘭が自分に会いたがっていたことは間違いなくわかったため、安堵から、少し言葉の勢いは緩和した。



その時

「それに…本当は戦なんか嫌いな幸村に…見なくてもいい血なんて…これ以上…見せたくないもん…。」

愛しい女が呟いた、

想像もしなかった自分を思いやる言葉に、

「…!!!!!」

幸村の胸は、

激しく揺さぶられた。



「おまえ…ほんっと馬鹿だな…。」

「…!何よ!馬鹿馬鹿言わないでよ馬鹿!…っきゃ…!」

「しかも、うっせーし。」

まだ少し怒った様子の幸村は、向き合っって言い合っていた美蘭を、引き寄せると、片方の肩に担ぎ上げた。



乱暴な言葉とは裏腹に優しい抱擁に、

後ろ向きに荷物のように担ぎ上げられているというのに、美蘭の胸は、ドキドキと高鳴った。



閨に連れて行かれると、

褥の上に降ろされた。



「…馬鹿も大概にしろよな…。」

見下ろしながら、苦しそうに真顔でそう言う幸村に


「それはこっちの…っ…」

また喧嘩を売られたのかと、

臨戦態勢て答えた美蘭であったが




「…っ」

顔の両側に、逞しい両腕をつかれ、

息がかかるほど近くに、鼻と鼻が擦れ合いそうなほど近くに顔を寄せられると、


身体中が心臓になってしまったのかと思うほどに、ドクドクと胸が騒ぎ出した。




「どんなおまえでも構わねェって、分かんねーのかよ?」

囁くような声で、

だが力強くそう言って、

深呼吸するように、息を整えた幸村。




「どんな理由でも…おまえに突き離されんのが俺の不幸だって…まだ分かんねーのかよ?」


「…っ!!!」


更に絞り出すように、掠れた声で呟いた幸村の視線には、底知れぬ熱い熱がこもっていた。


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