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【イケメン戦国】恋花謳〜コイハナウタ〜

第18章 甘夏の謌【幸村】


春日城に到着し、軍が解散となると

幸村は赤い甲冑を身につけたまま、美蘭を探して城の中をドタドタと歩き回った。


美蘭の部屋にはまだ戻っていないのを確かめると、すぐに針子部屋を目指した。


幸村は、愛しい恋人がいる城に帰ってきたというのに、その恋人がなかなか見つからない苛つきを込め襖を開け放つ。

バン!!!

「あ!幸村!」

美蘭は、予想通り、そこに居た。



「お帰りなさい♡」

向けられた、夢にまでみた花のような笑顔に

「…っ!…おー。」

幸村は、キュン!と胸を甘く締め付けられ



愛しくて

嬉しくて

あまりに胸が苦しくて、言葉が詰まった。



「お帰りなさいませ、幸村様!」

「お疲れ様でございました。」

針子たちが口々に労ってくれるのに軽く頭を下げて礼をすると、

幸村は裁縫道具を片付けていた美蘭の手首を掴んで立ち上がらせると、

「すまねー。ちょっとコイツ借りる。」

そう言って

「え?!まだお片づけが…っ…」

何やら叫んでいる美蘭の手を引いて針子部屋から連れ出した。



後ろ手に手を引いたまま廊下を進んで行き、

庭に面した渡り廊下まで来ると、手を離した。


「ちょっと幸村!まだお片づけの途中だったのに!!」

強引に連れ出した幸村の背中を、柔らかい拳でポカポカと叩きながら噛み付く美蘭に

「うっせーんだよ!」

ぶっきらぼうにそう叫びながら振り返った幸村は、

「なっ?!…んう…っ…チュ…」

美蘭の唇に噛み付いた。



固い甲冑に抱き締められ、胸元から幸村の体温を感じることは叶わなかったが、

繰り返される深い口付けに頭がくらくらしつつ

「…っチュ…チュ……ん…ふ…っ、」

久しぶりに会った幸村の存在が愛しくて、

嬉しくて、

美蘭は、されるがまま口付けられた。



「…っはぁ…っ。」

暫くしてようやく唇が離されると



「もう!こんな所で急に!人が通ったらどうするの?!」

美蘭は、嬉しくて仕方がないのに、

照れ隠しに、

真っ赤な顔で天邪鬼な言葉を口走った。



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