第13章 恋知りの謌【謙信】湯治編の番外編 〜佐助の苦悩〜
「もうこうなっては収まりがつかぬ。」
「…やっ…」
「誰のせいでこうなったと思っている。」
「…っ!」
(謙信様のナニがああなって、美蘭さんが迫られてるのか。いつものことだけど我慢の出来ない人だ。)
佐助は、聞こえる声のやり取りから、襖の向こうで起きていることを、想像した。
「お前を抱くまで眠れん。」
「でも…その手じゃ…っ…。」
(確かにあの包帯の巻き方じゃ…何もできなそうだったな。)
佐助は、美蘭が包帯で、親指以外を全てひとまとめにぐるぐる巻きにしていたのを思い出した。
謙信も、もう眠るだけと、そのままにしたようだったが、きっと今は後悔しているだろう。
だが、
謙信の美蘭への情熱は佐助の想像を上回っていた。
「こんなもの…何の問題も無い。…ッ…。」
「…っ……あ…っ…。」
(………合体したな。)
おそらく寝転がったまま、寝着を捲り上げて挿入したのだろう。
その後は、褥なのかはだけただけの寝着なのか…衣摺れの音と、可愛らしい、必死に声をおさえているのだろうが漏れ聞こえる喘ぎ声が、聞こえてきた。
(準備ができてる美蘭さんも美蘭さんだ!)
佐助は暗闇の中で、聞こえてくる音声によって頭の中に映し出される光景に身悶えしていた。
しばらくすると、また謙信が話し始めた。
「…っ…物足りぬのか…?」
「そん…なこと…っ…」
「俺の目は欺けぬぞ。…上に乗れ。」
「ええ?!そんなの無理です…っ…」
「おまえは何も心配せずとも…良いっ…。」
「あ…っは…っ…」
(……!今、『良い』って言いながら美蘭さんを上に乗せた!騎乗位にした!)
佐助の頭の中には相変わらず、想像だが、映像となり映し出されている。
我慢しているのだろうが、だんだん抑えられなくなってきている美蘭の声を聞きながら、悶々とさせられている佐助に、
謙信は更に追い討ちをかける。
「まだ物足りぬようだな…。…佐助。」
「…はっ。」
突然名を呼ばれた佐助は、
瞬時に自分の褥から起き上がり襖の前に膝をついた。
次の瞬間
謙信は信じられない言葉を口にした。
「入って参れ。」
「「 ……??! 」」