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【YOI・男主&勇ヴィク】貴方の、『a』のみの愛。

第1章 貴方の、我侭。


その発表会の様子は、ヴィクトル達が訪れた日の夜に「ゆ~とぴあ かつき」の宴会場で上映会が行われ、件の少女の演技が始まった瞬間、BGMの歌声が愛しい恋人のものだと気付いたヴィクトルと、優子やミナコ達の説明によって、全ての経緯が明るみになったのであった。

「大体あんたなら、世界中から一流のオペラ歌手もピアニストも呼べるやろ。何でトーシロの僕らがやらなあかんねん」
「判ってないなあ。俺は、勇利の歌で滑ってみたいの」
「じゃあ、この間の発表会用に録音した音源が残ってるから、それを…」
「この俺に、既に誰かが滑った使い回しを渡すつもり?そんな事したら、この先勇利に何も教えてあげないからね」
「ええぇ!?」
「アホか!コーチの理不尽な我侭に、立場の弱い生徒を巻き込むな!」
「ヴィクトルがこうなったら、折れるまでマジでしつこいぞ」
我関せずでこたつの一角に陣取っていたユーリ・プリセツキーの言葉に、純と勇利は頭を抱えた。
「勇利、仮にもこの『デコ露助』の恋人なら、何とかしたり」
「嫌だよ。この間は、本当に本当の非常事態だったからやっただけで」
「何だかんだ言うて、勇利は歌も上手いやんか。ジュニアの頃全日本の合同合宿で、先輩らの命令で一緒にA○B歌うた時も、ノリノリやったしなあ」
「あれは先輩達に強制されたからで、別にノリノリなんかじゃなかったよ!」
「○KB?」
「日本のアイドルグループや。僕も勇利も下にスパッツ履いとったけど、それっぽい衣装も着せられた上にメイクまでされてなあ。勇利も可愛かったで♪当時はプリセツキーくん位の身長でちょっと肥えとったけど、キレッキレのダンスは健在やったし。確か昔の画像が…」
言いながら、タブレットのギャラリーを開き始めた純だったが、背後から2種類の視線と気配を感じると、カバーごとタブレットを閉じた。
「何覗こうとしとんねん。誰がタダで見せる言うたんや」
「幾ら?言い値で買うよ」
舌打ちしながらこたつに戻ったユーリを他所に、ヴィクトルは、財布から自分のブラックカードをかざしてみせる。
「そうやなあ、勇利のコーチ代ディスカウントとかどやろ?」
「4割引きまでなら」
「ヴィクトル!純も何言っちゃってるの!?」
自分の知らぬ所で取引を始めようとしている純とヴィクトルを、勇利は慌てて止めに入った。
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