第12章 気持ち
「あ、ちょっと!それ最後に食べようと思って残しておいたのに!」
「お前が油断してるのが悪い」
「食べたいならジェリーさんに頼めばいいじゃん!」
「めんどくせぇ」
最後に食べようと思っていたカボチャの天ぷらを隣からかっさらっていく神田に腹を立てているあんな。
「最近あの二人今まで以上に仲良いですよね」
「オレもそう思ってたとこさ」
そんな二人の様子を見ながら今日も平和だな~と思っていたアレンとラビだった。
何故今こうして普通に神田と接していられるかというと、ラビに話を聞いてもらったあの日…
「ふぅ。こんなもんかな」
「やっぱあんなさんには敵わないですよ」
息を切らしながら男達が数人地面に転がっていた。
「これでもちゃんと鍛えてるからね~」
たまたま居合わせた探索部隊の人たちと組手をしていたのだ。
気付けば複数人対一人になっていたが、そんなものは関係なくあんなの圧勝だった。
「他に誰かいないの~?」
「勘弁してくださいよ~」
「もうくたくたッス」
なんだ、もう終わりか、と少し物足りなかった。
こんな言い方をすると申し訳ないのだが探索部隊の人たち相手だと少し物足りなく感じる。
「あ、神田さん…」
探索部隊の一人がこちらに向かってくる神田を見つける。
「そ、それじゃああんなさんまた!」
「稽古つけてくださってありがとうございました」
一斉にその場にいた人達が引き上げていってしまう。
彼らの考えていることはまあ、大体分かる。
「あーあ、みんな神田見て逃げてっちゃった」
「あぁ?なんで俺のせいなんだよ」
神田の相手をしていたら命がいくつあっても足りないからだ。
この男は手加減というもの知らない。
「神田が一方的にボコボコにするからでしょ?」
「なんで俺が弱い奴に合わせなきゃいけねーんだよ」
「もー!すぐそういう言い方するんだからー」
「本当の事だろ」
「はぁっ…」
今更だと言ってしまえばそうなのだが、やはりたまに神田の言動が心配になってしまう。