第3章 任務
「ここがAKUMAの目撃情報があった場所なんか?」
「その筈なんだけど…」
私達は資料に書かれていた小さな村に来ていた。
しかし、その村は真昼間だというのに人の気配を感じられない。
「ねえ…もしかして…」
「チッ。そのまさかだっ」
嫌な予感がしたその時、神田が六幻を構える。
すると、どこからともなく大量のAKUMA達が現れた。
そんな…じゃあこの村の人たちは…
「おいっ、今はこいつらを倒すのが先だ」
「…うん」
神田とラビがAKUMAに向かって飛び出していく。
少し遅れて私も彼らの後を追った。
「はぁっ…はぁっ…」
あれからだいぶ時間が経ったのだろう。
今は太陽が沈みかけ真っ赤な夕日が村を包み込んでいる。
「疲れた~。もうへとへとさ~」
「だいぶ数が多かったもんね。それに…この村の人達…」
「全員やられたな」
悔しい。誰も守ることが出来なかった。
ごめんなさい、そう心の中で思った。
「行くぞ」
私達は村を後にし森の奥へと進んだ。
「霧がだんだん濃くなってきたね」
「はぐれんなよあんなー」
「はーい。はぐれんなよ神田ー」
「……」
「もうっ!ノリ悪いっ!ラビも何か言ってやってよ」
「あんなはいつも元気さ」
「黙って歩け。置いてくぞ」
あれから森の中に入り異常がないか辺りを探っていた。
段々と濃くなる霧以外は特に異常は見当たらない。
「ねえ、この霧ちょっとおかしくない?」
さすがに霧の濃さが尋常ではないと思い二人に声を掛ける。
しかし返事は返ってこない。
「神田ー?ラビー?聞いてるー?」
おかしいな。聞こえなかったのかな?
そう思い再度声を掛けてみるもいつまで経っても返事はない。
辺りは妙に静かだ。聞こえてくるのは自分の足音だけ。
さすがに何かおかしい。
いつでもイノセンスが発動できるように神経を尖らせる。