第11章 優しい守り番
「あー…でも山の神が本当にいたなら魔物もいるって事?」
「俺は一度も会った事が無いがな」
「じゃあ、魔物はいないんだ」
「そうとも言えないな。たまにだが禍々しい良くない気を感じることがある」
「え…何それ…めっちゃ怖い」
「だが一族に伝わる結界術によってこの場所までは辿り着けないようになっている」
結界という響きに少しだけかっこいいと思ったのはここだけの話だ。
「それじゃあ、その禍々しい得体の知れない物を倒しに行こう!」
「はっ?」
私の突然の提案に驚いてる様子の山の神。
「いやー…実はさ、村の人と約束しちゃってさ」
「お前は馬鹿なのか?」
「だって、そうしないとこの生贄の風習なくならないでしょ?」
「何故お前がそこまでする必要がある」
信じられないという目で私をまっすぐ見てくる彼。
確かに彼の言う通りだ。知らないふりなんていくらでも出来る。
だが、これではいつまで経っても悲しみの連鎖を生んでしまう。
ここで見捨ててしまえば千年伯爵の手助けに繋がる可能性だってある。
「私の守りたいもののため…かな」
「そうか…。まあ、どうにかしないと思っていた所だったから丁度いい」
「よーし、じゃあ魔物狩りと行きますかっ!」
こうして私は山の神と一緒に魔物を退治することになったのだった。