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大切な物【D.Gray-man】

第11章 優しい守り番




「申し訳ありません。この先落石のため運転を見合わせております」


先ほど乗りこんだ汽車が突然止まったかと思えばこれだ。
教団への帰り途中だった私たちは2、3日の間足止めをくらう事になってしまった。



「ついてないねー…」

「仕方ありませんよ。この辺は数日雨が続いたみたいで地盤も緩んでいたようなので」

「へぇ~、そうなんだ」

「さっきそこで聞きました」


ちゃっかり情報収集をしているアレンは偉い。
ひとまず近くの村に来てみたものの、特にすることもなく暇だ。


「暇ー…って、神田は?」

「神田ならさっき外に出ていきましたよ」

「アレンはいいの?折角だし何か見てくれば?」

「あんなはいかないんですか?」

「んー…私はいいや」

「わかりました。じゃあちょっと僕も出てきます。何かあればすぐに呼んでくださいね」



そう言ってアレンも部屋を出ていき一人部屋に残る。
小さな村だったため空いていた宿はこの一室だけ。



「ふぁあ~…」


誰もいなくなって静かになった部屋が眠気を誘う。
私はゆっくりと瞼を閉じ暗闇の中へと落ちていった。























「…山……へ…」

「…これ……は、…じゃ…」


ぼそぼそと聞こえる話し声に脳がゆっくりと覚醒していく。


「ん…だれっ?」


まだ半分ほど眠っている体を起こそうとしたが体が動かないことに気付く。


「えっ…なに?」

驚いて自分の体を見ると縄でぐるぐる巻きにされがっちりと固定されていた。





「おい、目を覚ましたぞ」



私に気付いた男の人たちは慌てた様子でバタバタとしている。




何故こんな状況になってしまったのかわけが分からない。
確か宿で寝ていたはずだ。それにアレンと神田はどこにいるのだろうか?


「ねえっ、これ一体どういうこと?」

「お前は山の神の供物として選ばれたのじゃ。すまんが村のためじゃ。悪く思わんでくれ」

「山の神?供物?」




この村に足を踏み入れた時の違和感はこれだったのか。

当たり障りない感じで話しかけてくるも、私を見る視線はまるで選別するような感じだった。

きっと外の人間が珍しいのだろう、とあまり気にしなかったが…。



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