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大切な物【D.Gray-man】

第10章 海の魔物



これは昔の話。



海の魔物がでると言われた海があったそうだ。

なんでもその魔物は上半身は女性で下半身は魚の姿をしていたそうで、その美しい歌声で魅了し船を沈没させ人を喰らっていたそうだ。


海での遭難事件の殆どがこれが原因と言われてきた。




「それって神話のセイレーンですよね?」

「そうだね。まあ、要は人魚だよね」

「今回の任務と関係あるんですかね?まさか本当に人魚が…?」



実は数週間前から船が来ない街があるらしく、それの調査をして来いとの事だった。
出航してもどこにも船は辿り着いておらず、逆にあちらから来る筈の船も港に着く前に消えてしまったらしい。



「んー…どうなんだろう。この辺の海流は強いって言うし」

「神田はどう思います?」

「…フンッ。イノセンスなら回収するまでだ」


そう、実はこの任務アレンと私と神田の三人なのである。
この前の一件以来初めて顔を合わすから正直気まずい…。

(はぁ…。なんでこのメンツなんだ…)


ため息が止まらないあんなだった。



「あの、ここから出る船って」

「今はどこも船は出てないよ。諦めな」


先ほどからこの調子で誰も船を出してくれる様子がない。
一度出たら帰ってこれない状況に皆恐れているのだろう。


























「はぁ。誰も出してくれそうにないですね」

「そうだね…。どうしよっか…」

「あらん…貴方たち船を探してるの?出してあげましょうか?」


突然私達の前に現れたのは女…いや、オカマだった。
何故オカマ!?と思ったが深くは気にしないでおく。


「ほんとですか!?お願いしますっ」

「あんたに言ってるんじゃないわよ!この小娘っ!」

「こ、小娘っ!?」

「そっちのクールなお兄さんと可愛い坊やのためだったらいいわよ」

「なんだとこのオカマ野郎っ!」

「あんな、お、落ち着いてください」


船を出してやるなんて言い出すからいいオカマかと思ったらどうやらお目当てはアレンと神田らしい。


「ぜひお願いします」

「…納得いかない」

「なあに?文句あるの?出してあげないわよ」



こうして不本意ながらこのオカマ野郎…、ジェシーに船を出してもらう事になったのだ。





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