第6章 優しさ
「ねえ、神田ー。アレンって優しいよねー」
「…甘いだけだろ」
アレン達と別れた後、私と神田はある場所へと向かっていた。
「いや、そう言われたらそうなんだけどさ…」
ふと、『それでも僕は誰かを救える破壊者になりたいです』と言ったアレンを思い出す。
「俺はあいつみたいな甘いやり方は大嫌いだ」
「うん。神田ならそう言うと思った」
やり方は真逆でも二人はよく似てるよ、なんて言ったらきっと物凄く怒るだろう。
「何笑ってんだよ。気持ち悪い顔しやがって」
「酷っ!こーんな可愛い顔してるのに?」
「……」
「あっ、やめて、無視しないで、ここ突っ込むとこ!いたたまれないっ!」
スッと私から目を逸らそらすその行動が私の心に刺さる。
相変わらずノリが悪い。これじゃあ、私が自意識過剰女じゃないか!
「お願いだから無視はやめて」
「着いたぞ」
「…はい」
どうやら話をしている間に目的地に着いたらしい。
その時だった。
「プォォォォォッ!」
汽笛の音が聞こえてきた。
「あっ、汽車来たね!」
そう私たちの目的の場所とはこの汽車の事だ。
しかし、ただの汽車ではない。
夜な夜な走り続ける無人の汽車なのだ。
さらに、この汽車に乗ると帰ってこれないとの噂もある。
ーガタンッ ゴトンッ
「ほんとに誰も乗ってないんだね…」
「あぁ。お前は車内を見て回れ。俺は上から探る」
「はーい」
汽車に乗り込んだ私たちはさっそく探索を始める。
コムイさんの話だとイノセンスが関係してるのでは?との事だった。
「無人で走る汽車…か…ちょっと気味悪いよね…」
これがイノセンスのせいかAKUMAのせいか
もしくは全く別の何かなのか…。
シンッと静まり返る汽車の中は少し気味が悪かった。