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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




及川との通話を終わらせてから、
すごく、考えた。

本当に、今日、行くべきだろうか?

行けばきっと、
綾ちゃんは、怒る。

まずは
『もう、来ちゃダメって言ったよね?』
…って。

そしたら俺は
"彼女とは別れた"って言おう。

多分、綾ちゃんは
『なんで?あんだけ
大事にしてあげてって言ったじゃない!』
…って怒るから、

『俺がフラれたんだ。
俺よりもっと彼女を大事に出来る同級生が
もってった。』
…って説明して、

それでも綾ちゃんが怒ってたら、
必殺?!『腹減った』作戦でいこう。
きっと、とりあえず家にあげてくれる。
そこから先は、その時、考えよう…

ここまでの流れを
何度も何度も頭の中で繰り返してみて、
もう、考え尽くした、と思えてから、

ようやく、俺は出かけることにした。

及川の言うとおり、
別れたばかりの今日が1番、
無茶な言い訳も出来ると思ったから。

怒られてもいい。
顔見て話せればいい。
とにかく、今、1番、会いたいから、
だから、会いに行く。

それだけ。

時計を見る。
…11時。
綾ちゃんの店は12時まで。

店じゃなく、家に行こうと思った。
この時間の夜の町は、
あちこちに知り合いがいるから、
もし出くわしたら、何かと面倒くさい。

家の前で、待つ。
何時間でも、待つ。

そうと決めたら、もう、
踏み出さずにはいられなかった。

明日の俺は、
彼女だけじゃなく、
綾ちゃんのことも
失ってるかもしれない。

でも、
どうせ失うなら、1度にまとめて。
落ち込むのも傷付くのも、
まとめての方が、マシだろ。

そう思って、覚悟を決めた。

鍵を閉めて、外に出る。

寒さも本格的になってきた仙台の夜。
みんな、温かさが恋しくなる季節。

彼女と別れたばかりの喪失感も、
親が留守にしてるからこその自由も、
今は、全部、
人恋しさの理由にこじつけて。

…会いたい人に、会いに行く。

それだけのことが、

こんなに勇気がいることだと、
止められない気持ちなんだと、

初めて知った気がする。

綾ちゃんの部屋の前で
どのくらい待っていたのか、
ぼんやりしてたから自分でもわからない。

でも
ハイヒールの音が階段に響いた時、
身体中の神経が、
1度に目覚めた気がした。


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