第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)
その日の残りの時間のすみずみで、
自分がいかに自分勝手なのかを
つくづく思い知った俺。
あれからそのままの場所で、
一人で黙って弁当を食った。
…5分で食い終わった。
残った昼休み時間、
何も考えたくなくて、
結局、その場にひっくり返って昼寝した。
学校帰り。
別に、今までだって
一緒に帰らないことも多かったけど
それはほとんど俺の都合で、
いざ、こうして予定もなく一人となると
周囲を歩くカップルが、やたら目につく。
彼女…ぁ、もう、"元カノ"か…
あれからどーしただろうか?
早速、あの男に慰められながら
一緒に帰ったりしたんだろーか?
そんなことを考えながら
家に帰りついて、いつも通り、
弁当箱を洗いながらびっくりした。
今日のおかずが何だったか、
どんな味だったのか、
さっぱり、覚えてない。
…別れたのは俺のせいなのに、
予想以上にしんどくて、
彼女は、もっと辛いだろう、
やっぱ、悪いことしたな…と思いかけて
ふと、気付く。
あぁ、だけど彼女は一人じゃないんだ。
次の恋の始まりは、目の前に、ある。
…俺、バチ、当たったな。
『彼女からフッてもらえたら、
心置きなく綾ちゃんに行ける』
とか、考えてただけでもヒドいのに、
今さらなんだよ、この喪失感。
…そんなことばっかり頭の中を巡って。
何をしても手につかなくて、
全然、飯を食いに行く気もしなくて、
いっそ眠ろうと思ったけど眠れなくて、
俺、及川より、ずっとクズだなぁ。
ん?及川?
そうだ、及川。
及川には、報告しておこう。
"俺が彼女にフラれるのが理想的。"
"焦るな。流れに任せろ。"
そう言っていた及川の
言葉通りの展開になったわけだ。
きっと両手を叩いて喜んで、
自分のアドバイスの正しさを
自分で褒め称えるはず。
…悔しいけど、今、
俺の気持ちを紛らわせてくれる相手は
及川しかいねぇもんな。
そう思って及川に電話した。
今日のコトの顛末を話す俺の言葉を、
及川は、時々茶化しながら
それでも割と真剣に聞いてくれて、
そして、
報告が一段落した時、及川は、言った。
『で?まっつん、今、どこで何してんの?』
『え?だから、家で、腐りながら
お前に電話してん…』
『何してんのさ、まっつん、バカなの?』
『は?!』
いきなり、バカよばわり?!
