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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




翌日の昼、俺より少し遅れて
いつもの待ち合わせ場所に来た彼女。

『遅れてごめんなさい。』

『全然大丈夫。さ、飯、飯。』

いつもと同じ
コンクリートブロックに座って
弁当を開こうとしたけど、
彼女は、隣に、来ない。

『どした?弁当、忘れた?』

『…ううん、ほら。』

いつもと同じ
小さな弁当用の袋を持ち上げてみせる。

『なーんだ、あるじゃん。
食おうぜ、あぁ、腹減った~。』

そう言って俺の横に促すけど、
彼女は
さっきと同じところに立ったまま。

…いつもと違う、ということは、
さすがの俺にも、わかる。

『どーした?』

『センパイ、あのね、』

『ん?』

『…受験生って、忙しいんだね。』

『まぁ、な。』

『卒業しちゃったら、
もっと会えなくなるんだよね?』

『そーだな。』

『淋しいね。』

『ん。』

こんなやりとりは、
今までも何度かあったけど、
その先は、いつもうやむやにしてきた。

だけど、今日の彼女は、違う。
その先に、自分から踏み込んで行く。

『でも私のこういう気持ち、
多分、センパイ、ウザイよね。』

『…んなこと、ねぇけど…』

『あたし、自信なくなってきちゃった。』

『なんの?』

『いろいろ。
センパイの受験が終わるまで
おとなしく待ってる自信とか、
センパイが卒業してからも
つきあい続ける自信とか、
…今、センパイに愛されてる自信とか。』

『…』

『センパイ、なんか、言ってよ。』


そんなことない、って
今だけ我慢して待ってろ、って
受験終わったらいっぱい遊ぶぞ、って、

…そして何より、
"俺も好きだ"って

返事して欲しい気持ちが
痛いほど、伝わってくる。

けど。

『…ごめん。』

『それって、』

『俺、彼氏として物足りないよな。』

『…うぅん、わかってる。
甘いこと言うのが苦手なのも、
イチャついたりしないのも、
受験に専念したいのも、
センパイらしさだもんね。』

…多分、違う。
俺、綾ちゃんのことは、
しつこく追いかけて探したし、
好きだ、とか
抱きたい、とか言うし、
(実際、強引にでも抱いたし)
なんとかして一緒にいたい、って
時間だってやりくりして家まで行くし、

つまり、
本当に問題なのは、
"1番好きなのは誰か"ってことなんだ、

…と、言えるはずもなく。


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