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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




こういうのを立ち聞きするような
悪趣味はない、つもりなのに、

なぜか、足は動かず、
聴覚は敏感になってて、

見てないのに、見てるみたいに
二人の状況が目に浮かぶ。

思わぬ展開に
動揺している、彼女。
止まらない勢いのまま、
前のめりで言い寄る、彼。

『大事にしてくれない彼氏と
一緒にいる意味、あんのかよ?』

『大事にしてくれてないわけじゃ、ない!
今は、受験前なのに成績がイマイチだから
センパイ、焦ってるだけだもん!』

…くっそー、
及川のあの思いつきのウソのせいで、
この時期に成績が悪い、とかって
ダサい設定になってるのが悔しい。
別に、そんなに悪くねぇぞっ!

と、言いたいけど言えない…
いやいや、それよりも。

『俺なら、
勉強だって一緒にやれるし、
進路だって一緒に考えられるし、
毎日、一緒に帰ってやれるし、
ずっと一緒にいてやれるよ?
…淋しい思いとか、させねーよ?』

『…なに、言ってんの?』

『…わかれよ、ばーか。』

『わかんないよ、ばーか。』

『わかんねーふり、すんなよ、タコッ!』

『タコじゃないもん!』

『タコだろ、口、とんがってるしっ!』

『あんたがケンカ売ってくるからっ!』

『ケンカじゃなくて、心配してるって
わかんねーのかよ、バカッ!』

『あーっ、またバカって言った!』

遠慮のなさが、
まるで及川と岩泉(苦笑)

…素の彼女は、こうなのか…

まるで知らない子のようだ。

俺の前で
こんなこと、言ったこと、ねぇな。
きっと、俺に気に入られよう、って
背伸びして、頑張ってくれてるから。

『とにかくっ!あっち行って!
センパイにこんなとこ見られたら
ホント、困るし。』

…さっきまであんなに勢いよく
言葉を返してた彼の返事が、ない。

一呼吸、二呼吸。

黙ったままの彼に背中を向けて
ジャリッ、と、歩きだしたらしい彼女。

『…もしフラれた時は、』

彼の声に反応したのか、
彼女の足音が、止まる。

『…俺が、なぐさめる。
愚痴でもなんでも、俺が全部聞く。』

パシッ。

ぉぁ…もしやの平手打ち?!

彼の言葉に返事をしないまま、
ジャリッ、ジャリッ…と
こっちに近づいてくる足音。

咄嗟に体が動いて
その場から何歩か下がり、
まるでたった今、到着した顔をしたのは、
俺にしては最上級の芝居だった、と思う。

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