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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)



『ほっといていいよ。』

電話の相手?わかってる。

及川、じゃない。
わざわざ俺をここに来させたくらいだ。
アイツは今、俺が"取り込み中"なのを
誰より知ってるはず。

…かけてきたのは、きっと彼女。
よく、10時くらいにかけてくる。
特に、一緒に帰らなかった日や
学校であんまり話せなかった日に。

別に、大した用があるわけじゃない。
今、出なくても、構わない。

そんなことを考えていたら
ちょうど着信音が切れたから、
マナーモードにしておこうと取り出した時、

♪ピンポーン♪
LINEの音が鳴り響く。

画面に
"おつかれさま!"と猫がお茶を差し出す
かわいいスタンプ。

うっ…
ちょっとだけ、良心が痛む。
見てないことに…
そう心に言い聞かせて
電源を切ろうとした瞬間、

♪ピンポーン♪
また、鳴る。

"遅くまで勉強、すごーい!
着信、残してごめんなさい。
頑張れ、って言いたかったから❤️"

そしてさらに、
猫が"ガンバレ!!"と跳び跳ねるスタンプ。

…いつもと変わらないやりとり。
なのに、
このタイミングで言われると、
まるで今の俺の後ろめたい行動を
見られているみたいに居心地が悪く…

ふっ、と後ろで気配が動く。
俺が脱がせたニットを拾いながら、
綾ちゃんが言った。

『彼女から、でしょ。』

『…』

『よかったじゃない。』

『…どーいうこと?』

『間違い起こす前で。
彼女が、いっちゃん、守ってくれたのよ。』

『…間違いなんかじゃ…俺、ホントに…』

『いっちゃん、』

俺の背中を押して玄関に向かわせながら。

『誰かを大事にするって、大仕事よ。
片手間に出来ることじゃ、ないから。
覚悟もないのに浮気なんかしちゃダメ。』

『だから、浮気じゃないって…』

『彼女がいるのに
他の女、抱こうとするのは、
いくら欲だけだったとしても、
彼女にとっては許しがたいことだから。
…私が悪いんだけど。ごめんね。』

結局、俺はまた、綾ちゃんに謝らせてる。

靴を履いた俺に及川の学生証を握らせて。

『帰りなさい。もう、ここにも来ちゃダメ。』


俺に何も言わせないまま、
ドアは、閉まった。


『…クソッ、俺、なにやってんだ…』

拳で強く太腿を叩く。
…情けなくて。

自分では何も決めきれない。
本当に、情けなかった。

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