第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)
『…そんなに、ないし。』
俺に両腕を掴まれたまま、
身をよじったり下を向いたりして
なんとか胸を隠そうとしてる。
『そう?』
壁際に押し付けて見下ろす胸元。
レモンイエローからのぞく、白い膨らみ。
『寄せたり上げたりしてんの?』
『…してる。ブラはずしたら
ガッカリするような胸だから、
いっちゃん、これ以上、
見ない方がいいよ。ね?』
そうやって言えば、
止めると思ってるなら、
それは性少年を…俺を…甘く見すぎ。
『ますます、見たくなるじゃん。
…てか、先週、もう、見たし。触ったし。』
『こんな、お古じゃなくて、
いっちゃんにはいっちゃんだけの、
もっと初々しい彼女のが…』
『綾ちゃん、うるさいよ、
それ、言うなって言ったじゃん!』
あぁ、もうっ…
イライラさせんなよ。
イライラの方向は綾ちゃんじゃない。
今、この場で
綾ちゃんのストッパーになってる
彼女に、イライラしてしまう。
『俺は、』
狂暴に、ブラを、むしりとる。
『この、』
そのまま、小さな流し台に押し付けて、
『しっとり柔らかいの方が、』
胸のてっぺんに、むしゃぶりつく。
『断然、好きだから。』
これは、本音。
彼女の、あの
弾き返すような張りのある胸も、
侵入を阻むようなキツいナカも、
恥ずかしがってぎこちないしぐさも、
まるで俺を拒んでるようで、緊張する。
それよりも、
綾ちゃんの、この、
少しひんやりして体に馴染んだ柔い肌や、
俺のアレをスルリと受け入れるナカや、
俺を蕩けさせるいろんなしぐさのほうが、
ずっと、興奮するし、居心地がいい。
『…ぃ、っちゃ、ん、浮気は、ダメ…』
『…親じゃあるまいし、
今さらそんなキレイ事、言うなよ。』
『キレイ事じゃないわよ、
いっちゃん、後で自分が、苦しいよ?』
『そんな心配、いらねーから!』
押し倒そうと両肩を掴んだとき、
まさに、
絶妙、というか
最悪、のタイミングで、
俺のズボンの中から、
騒々しい着信音が聞こえてきた。
『…いっちゃん、電話、』
しまった、
こんな時に限って、
音、マナーにしとくの忘れてた。
このエロい場面に相応しくない、
ノー天気でアップテンポな着信音は、
なかなか鳴りやまない。