• テキストサイズ

~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




綾ちゃんのアパートを出た時には、
なぜか及川が満足げな顔で
ペラペラ喋りながら前を歩き、

俺は後ろから、
叱られた犬のようにうなだれて、
重い足を引きずりながら
ずるずるとついていく、という、

ここに来たときには
想像もしなかった展開になっていた。

『…いやいや、さすがまっつん、
筋金入りの年上マニア!
あぁいう人なら、あのくらいの歳の差も
ありかもしんないねー。
なんか、無条件に可愛がってくれそうだし
Hもさ、経験の分、テク、ありそうじゃん。
こっちが頑張らなくてもいいセックス?
どうよ、まっつん、なんなら俺も交ぜて…
思いきってさんぴぃとか、どー?』

『…』

『あれ、まっつん、ここ、
"ふざけんな!"って怒るとこだけど?』

『…』

『まっつん?』

『…なぁ、及川、』

『なに?』

『綾ちゃんは、俺じゃなくてもいいのかな?』

『ん?』

『綾ちゃんは、俺じゃなくても、
息子みたいに世話やけるヤツなら、
誰でもいいのかな?』

『ぁ、綾さん、息子、いるんだ…
シングル?息子手放したってこと?』

『らしい。詳しいこと、知らないけど。』

『…聞けない?聞きたくない?』

『ていうか、どっちでもいいから。
…綾ちゃんが話したいことだけ
話してくれればいいんだ。』

『ありゃ…それは優しさ?
それとも、深入りせずに
おいしいトコだけ持っていきたいわけ?』

『…聞いたって、
俺じゃなんにもしてやれねぇじゃん。』

立ち止まった及川につられて
俺も、立ち止まる。

ふと見ると、
さっきまでのチャラ男の顔ではなく
頼れるキャプテンの顔をしてる。
…部活、引退してから見てなかったな、
この顔の及川。

『ね、まっつん、先週、
彼女を帰らせた後も、ここに来てた?』

『あぁ。タクシーの領収書、届けに来た。』

『タクシーの領収書?』

…誰にも言えなかった綾ちゃんのこと。
口にしていいなら、誰かに話したい。

うちでしばらく暮らしてたこと。
キスした翌日、突然、いなくなったこと。
先週、噂を聞いて探して探して
ようやくお店を見つけたこと。
酔った綾ちゃんを
家まで連れて帰ったこと。

その翌日、彼女に尾行されたこと。
彼女を帰らせて、
オムライスを食べたこと。


/ 733ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp