第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)
『ね、及川君、もしよかったら
一緒にハンバーグ、食べていかない?』
『え!いいんですか?』
『いいよ、ねぇ、いっちゃん?』
『は?ダメに決まってんだろ、帰れよ。』
『えーっ、でもまだ話が…』
『夜、電話すっから!』
『…あれあれ、まっつん、
そんなふうに俺のこと、
邪険に扱っていいのかな?
後で泣きついてきても知らないよ?』
『だから、なんの話だよ?!』
長くこいつと友達してきたけど、
今、初めて、ガチでケンカしそうな雰囲気だ。
その空気を察知したのか、
綾ちゃんが会話に割り込んでくる。
『とーにーかーく、あっちに座って!
こんな狭い台所に君たち二人は
でっかすぎて料理できないから。』
背中を押されるように、畳の部屋へ。
『ごゆっくり。』
ニコッと笑うと、
綾ちゃんはエプロンをつけて
料理を始めた。
その背中を見ながら、
及川と和室に座り込む。
『…マジで、何の用だ?』
『まっつん、綾さんとどーいう関係?』
『あ?えーと、母さんの友達。』
『…うわっ、そんな禁断の仲…
エロくて楽しそう!』
『なんでだよ!飯、食うだけだ!』
『じゃ、なんでそんなに怒るのさ?
飯食うだけなら、俺がいたって、
別に、いいじゃん。
まっつん、下心あるから
そんなに俺が邪魔なんだろ?違う?』
『うっせぇなぁ、
飯くらい、心穏やかに食いたいからだ!』
『まっつんがホントに食べたいのは、
ハンバーグじゃなくて
綾さんの熟した身体じゃないの?
…それとも、もう、食べちゃった?』
『…は?何言ってんだよ?
綾ちゃんは、母さんの友達だって…』
『…まっつん、溢れてるよ。』
『何が?』
『まっつんの、綾さんへの気持ち。
自分では抑えてるつもりかもしんないけど。』
俺の、気持ち?
急にいなくなってショックだった。
先週、会えて嬉しかったのも、
今日を楽しみにしてたのも、確かだ。
…あわよくばもう一度抱きたい、という下心も
ないとは言えない。
いや、ハッキリ言えば、盛大に、ある。
けど。
その気持ちが、
もし、もしも溢れてたとしても、
それは及川には、全然、まったく、
1㎜も関係ない話であって。
こうやってこそこそついてきて、
邪魔していい理由にはならないだろ?