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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




『…って言われてー、もう、まぢで
腹立つ~!どっちでもいいって話よね?』

『んー、だな。』

『ね?あたし間違ってる?!』

『ぃゃ、それでいいんじゃねーの。』

『…先輩、あたしの話、聞いてる?』

『ぁぁ、聞いてるって。』

…そう答えはしたけれど、
実はそれほど、聞いてなかった。

昨日のことが
ぐるぐる、頭をまわってて。

夜の街を探し回ってた時の、
諦めきれない気持ち。

やっと見つけた時の、
自分でも驚くほどの嬉しさ。

久しぶりに話せた時の、
なんともいえないくつろいだ感じ。

帰れ、と言われたときのショック。

酔った姿、泣き顔を見た時の、
"放っておけない"と思った気持ち。

店でのキス。
タクシーで手を繋いだこと。
玄関先での、激しい交わり。
暗い、小さな和室で
完全にリードされて果てた快感。

…やっと1つになれたと思ったのに、
もっと愛し合えると思ったのに、
無理矢理、帰らされたこと。

…ひとつひとつ、思い浮かぶたび、
昨日と同じように
心は跳ねたり痺れたり凹んだりして、

正直、今日の俺は
明らかに、何もかも上の空だ。

会いたい。

来るな、って言われたけど、
もう1度、会いたい。

俺の知ってる綾ちゃんは、
明るくて、世話焼きで、
友達とか、姉とか、母とか…彼女とか…
どんな存在ともいえるような、
笑顔が似合う大人の女性なのに、

その内側に抱えてる、
自分で自分を傷つけるような
孤独な気持ちを知ったら、
放っておけないだろ?


綾ちゃんの、あの頑なな態度。


…"来るな"と俺を拒むことこそ、
綾ちゃんも本当は
俺に会いたいってことなんじゃないか?


…そんなことが頭の中を占めてて、

『ね、センパイ、今日、一緒に帰ろ!』

『わりぃ、今日は先約ありだ。』

彼女の誘いを断った時、
俺の右手は、
ポケットの中の小さな紙に触っていた。

来るな、って言われたけど。
ただ会いに行くんじゃなくて、
用事があるなら、いいよな?

昨日、綾ちゃんに言われた
いろんな言葉をひとつひとつ、
自分の都合のいいように解釈してて、

…彼女が不満げな顔をしてたことには
全く、気づかなかった。

それくらい、俺の中は、
綾ちゃんと過ごした一夜のことで
いっぱいだった。

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