第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)
"俺、綾ちゃんのことが、"
…その先の言葉を阻む、綾ちゃんの声。
『いっちゃん、これは恋愛じゃないからね。』
『…どーいうこと?』
『好きとか愛とか恋じゃないから。
いっちゃんが大事にするのは、彼女。』
…そんなのって、
『でも俺、今、スゲー、なんつーか、』
幸せ、とかって、恥ずかしくて言えない。
満たされてる、とか
気持ちいい、とかも言えないけど、
でもすごく、ここにいたい。
『…これは夢だと思おう、ね。』
夢?
『夢じゃないって!だってほら、』
触れていた綾ちゃんの顔を
ギュッとなでる。
…クチャ。
べったりと手のひらにつく精液。
『こんなリアルなの、夢じゃないだろ?』
『じゃあ、』
ベタつく手のひらに
綾ちゃんの手のひらが重なって。
『欲、だね。私達は、欲つながり。』
そう言う綾ちゃんの顔は
少し、いたずらっぽくも、
少し、淋しそうにも見える。
…わかってる。
そうとしか言えないってこと。
『いいよ、それで。
欲つながりって言うなら、』
ベタベタなまま繋いだ手を
引っ張って立ち上がらせた。
下半身裸の俺と、
破れたストッキング姿の綾ちゃん。
"欲つながり"な二人にぴったりな
だらしなく乱れた姿。
『もっと、繋がらせてよ。』
『…いいよ。でも、顔だけは洗ってもいい?』
『ダメ。そのまま。』
『あら、マニアックな高校生…』
『ウソ(笑)』
『よかった。』
『でも、早く。』
『シャワーはダメなの?』
『ダメ。早く。じゃないと、ほら、』
ベタベタの手に、
早くも角度を取り戻しつつある
股関を握らせる。
『またコレが暴れだすよ?』
『大変(笑)急がなくちゃ。』
離れたくなくて。
繋がっていたくて。
頑張らなくてもいいのが
すこく居心地よくて。
小さな洗面所で顔を洗う綾ちゃんに
後ろからまとわりついて、
綾ちゃん越しに俺も手を洗う。
何をしても受け止めてくれる、
…という安心感。
濡れた手を、
綾ちゃんのブラウスで拭いた。
『あ、タオル、』
『いらない。だって、』
しずくを
ブラウスの胸の膨らみの辺りで拭きながら
ボタンを1つ、2つ…
…もう待てない。
2回戦の、始まり。