第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)
『…いっちゃん、』
綾ちゃんは、
自分から俺の首に両腕をまわし、
明らかにそれとわかる顔で
こちらを見つめている。
言葉はなくても、わかる。
これ、キスを待ってる顔。
恥じらいとか
ためらいとか
そういうのは、一切、ない。
気持ちがまっすぐに、顔に出てる。
…つまり、すごく、エロい。
今まで、
こんな風に女の人に見つめられたこと、
一度もなくて、
もう、
もう、
"バチッ"
…俺のなかで、
何かのスイッチが入った音が
したような気がして、
『…っ、』
どうしようもないくらい、
めちゃくちゃにほしくて、
強く強く抱き締めながら、
強く強く唇に噛みついた。
…噛みついた、って
おかしいかもしんないけど。
そのくらい、止められない勢いで。
そしたら、さらに興奮することに、
綾ちゃんも、
俺のその勢いに負けないくらい、
熱く、攻撃的な仕草で応えてくるから、
『…ん、っ、はぁ、はぁ、』
『…ん…っっ、ぅ、ぁ…』
まだ、玄関にあがったばかり。
電気もつけてない暗がりの中で、
こぼれる息が妖しいほど響く。
足の指の先がムズムズするほど
下半身に血が駆け巡っているみたいで
腰のあたりが、異様に熱い。
…はっきりいえば、
股間がガチガチに勃起している。
これ、どーすんだ…
このままで、イきそうじゃん…
ちょっと、なんとかなんねーか?
上半身は、
綾ちゃんを掻き抱きながら
息が止まりそうなキスをして、
下半身は、
綾ちゃんにバレないように
なんとか収まりのいい所を探して、
クネクネゴソゴソと動いていたら、
そしたら、
『…?!…』
…はち切れそうな股間に、
ぴったりと寄り添うような、
ソフトだけど、絶妙な刺激。
綾ちゃんの手が、
俺の股間に吸い付くように
ズボンの上から包み込んでいる。
じわじわ伝わるぬくもりと、
ドクドク迫ってくる圧迫感。
ば、ばくはつ、す…
と思ったときに、
スッ…と手が離れる。
…ぉ、ぁぁぁ…不発…
不発、だけど、
火種は消えてなくて、
頭の中は、まだ、
緊急事態警報のランプのように
チカチカしている。
息。息、しないと…
たまらず唇を離した時、
綾ちゃんの濡れた唇が、動いた。
『このまま、ここで、シちゃおっか?』