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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




タクシーは、
たいした距離を走らないうちに、
裏通りの小さなアパートの前で止まった。

お金を払った綾ちゃんが先に、
それに続いて、俺も降りる。

見上げる、という程の高さもない。
二階建て。
どちらかというと古くて、
…綾ちゃんには、似合わないな…

俺がそんなことを考えている間に、
綾ちゃんは
財布をバッグに入れ、鍵を取り出した。

『…ね?いっちゃんちと違って、
古くて小さいでしょ?
こんなとこだけど、いい?』

『いいに決まってんじゃん。』

場所なんか、どこでもいい。

『2階。』

それだけ言って
歩き始めた綾ちゃんの
後ろについていく。

階段を上る後ろ姿。
俺のちょうど目の前には、

ハイヒールとストッキングが
よく似合うふくらはぎ。

その上に、
タイトスカートに包まれた、丸い腰。

さらにその上には、
ふわり、と体を包む、
ベージュのストール。

もっと上には、
白いブラウスの襟からのぞく
まっすぐな首もととうなじ。

手を伸ばせば触れられるけど、
今は、まだ、触れちゃダメだ。

あと少し、あと少し。
ここまで来たんだから、
焦っちゃいけない。

…階段を上りきり、
狭い通路を歩いて、
ドアの前で止まった綾ちゃんは、
黙って、鍵穴に鍵を差し込んだ。

夜中だからか、周囲が静かすぎて、
鍵が開くカチャン、という音が
ものすごく大きく聞こえる。

開いたドアを手で押さえ、
『どうぞ、入って。』と言うから
俺が先に中へ入った。

小さな小さな玄関。
大人二人は並んで立てないくらい。
先に入った俺がスニーカーを脱いで
部屋にあがったのを見てから、
綾ちゃんが入ってきて、
ドアを閉めた。

…キィィ、ガチャン、カチャ。

鍵をかけてようやく振り返り、
ヒールを脱ごうと壁に手をついた
綾ちゃんの捻れた腰つきと
片足立ちのフラリとした仕草が

見たことないほど、色っぽくて。

『…きゃ、』

まだヒールをはいたままの綾ちゃんを
その場で強引に抱き寄せる。
体勢も整わないまま、
勢いでこっちへ向かせて。

『店はダメだけど、
家ならいいって、言ったよな?』

"もう、いっちゃん、焦りすぎ"

きっとそう返事すると思っていた
綾ちゃんは、予想外に。

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