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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




水回りを簡単に片付けて、
ゴミをまとめて、
ザッと掃除して、
レジを閉めて…

『これで一通り?』

『うん。手伝ってくれてありがとう。』

『…どっちかっつったら、俺の為だし。』

心置きなく、
綾ちゃんを独占したかったから。
息子の名前のついた店に
気がかりを残させたくなかった。

『…いっちゃん、気持ち、萎えてない?』

『そんなわけ、ねーじゃん。
…そういう綾ちゃんこそ、
また"待って"とか言うんじゃねーの?』

いたずらっ子みたいな顔をして
綾ちゃんが答える。

『そんなわけ、ねーじゃん?』

『…なに、それ。俺の真似?』

『うん。若者ぶってみた。』

『(笑)ぶらなくていいよ。』

多分、お互い、照れ隠し。
もう、間違いなく、今度こそ
"いよいよ"な関係になってしまうのを
わかっているから。

気持ちが、はやる。
さっき、一旦、静まったはずの欲望が
ムクムクと復活してきて。

『早く行こう。』

『うん。いっちゃん、
先に下りて、タクシー掴まえといて。
一緒にいるとこ、誰かに見られたら
マズイもんね。』

『…俺は、かまわないけど。』

『ダメ。いっちゃん、私たちは、』

綾ちゃんがハッキリと続けた言葉。

『恋人同士じゃ、ないから。
私達が一緒にいることで
傷つく人が必ずいる、ってことは
ちゃんとわかってなくちゃダメよ?』

勝手に盛り上がっていた気持ちに
冷たい水を浴びせかけられたようで。
念を押すように、言われる。

『…それでもいいの?』

これは、最後の扉。
今なら、引き返せる。
ここから先は、俺次第。

そう思った俺の出す答えは、当然、

『…それでも、いい。』

この人に、触れたい。
強さと明るさの裏側にある
弱さと寂しさを、まるごと。
俺が今、1番、一緒にいたい人。

覚悟の大きさは、きっと、俺以上のはず。
綾ちゃんは、
俺を見つめて頷いてくれた。

『じゃ、先、行って。』

『…また、前みたいに、
俺をおいて逃げないでよ?』

綾ちゃんは、
自分の胸に手を当てて。

『ホントは私も、
逃げられないくらいドキドキしてるの。』

…その一言は、確かな誘惑。

『…それ、早く俺にも触らせて。』

『すぐ、追いかけるから。』

頷きあって、俺は、先に、店を出た。

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