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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




『俺が帰ったら、鼻歌歌いながら
片付けするはずじゃなかった?』

ビクン、と起き上がり、
ハッ、と振り返った時のびっくりした顔が
あまりにポカンとしてて。

…わざと意地悪、したくなる。

『…いっちゃん、帰ってって…』

『こんな泣き虫のウソつき、
1人にして帰れるわけ、ねーじゃん。』

『ウソなんか、』

『ついたついた。むしろ、ウソだらけ。
大人は切り替えが早い?
鼻歌歌いながらさっさと帰る?
満ち足りた気分?
…ウソばっかり。
満ち足りてるどころか、
足りないもんばっかりなんじゃないの?』

『なんでそんな、意地悪…』

『旦那の悪口も綾ちゃんの後悔も、
俺が全部、聞かせてもらうからさ、
とりあえず、思いきり、泣けば?』

『大人の愚痴なんて、子どもに…』

『ガキには社会勉強が必要だろ?』

綾ちゃんの口が、への字に曲がって。
それでもまだ、
涙はギリギリのところで堪えてて。

…あぁ、ヤバい。
こういう頑固な意地らしさ、
もろく壊れていく姿が見たい。

あれ?俺、
こんな場面に直面したの、初めてなのに、
なんで、そんなこと思うんだ?

あ、あれだ。
及川からもらったAV。

制服女子のバージョンは、
記憶にも残ってない。
和服熟女のバージョンは、
まさに、そんな内容だった。

旦那から大事にされてない奥さんの
愚痴を聞きながら慰めるうちに、
いつのまにか寝とる…的な内容。

ごめん、綾ちゃん。
もう俺、綾ちゃんのこと、
母さんの友達、とか
俺の母代わり、とかじゃなくて、

"抱きたい女"にしか、見えないよ。

"かわいい、いっちゃん"じゃなくて、
"ヤりたい盛りの性少年"になるけど、

…でも、なんとなく、思う。
多分、綾ちゃんも、
いざとなったら拒まないはず。

だからうちから出ていったんだろ?
だから俺を近づけたくなかったんだろ?

もう、決めたから。
俺から近付く、って。
キレイゴトの向こう側へ、行く。

スニーカーの靴底が
よく磨かれた床を踏みしめるたび、
ギュッ、ギュッ、と音をたてる。

歩けば10歩もないくらいの距離は
あっという間に目の前に近づいて、
そして、

『ゆっくり、どーぞ。』

有無を言わさず、抱き締めた。

一瞬、緊張で強ばった体も、
すぐにフワッと力が抜けて。

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