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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




『そしたらね、パンッて手を払われて、
"こんな所で腕、組むなんて、
キャバクラの同伴みたいじゃないか。
人に見られたら、どうすんだ。"って。』

『…旦那、シャイな人なんじゃないの?
イヤなんじゃなくて、照れ隠しとか。』

『そうかもしれないけど、でも、
拒絶された瞬間、すごく悲しくて。』

拒絶、って感じたんだな…
拒絶、って言葉、冷たい響きだ。

『なんか、
ほっぺた叩かれたみたいな気分だった。
私と腕、組んでるところ、
他人に見られたくないんだな、って。』

…正直言うと、俺もあんまり、
人前でベタベタしたくないタイプだから、
旦那さんの気持ちもわからなくは、ない。

だけど、
受け取る側がこんなに傷ついてる、
というのは事実なわけで。
…俺も気を付けよ…

氷が溶けかかったグラス。
綾ちゃんは少し、口をつける。

『…ごめんね。
恋愛真っ只中の高校生の夢を
壊すような話、して。』

『いいよ、勉強になる。』

『受験には出ないよ?』

『知ってるし(笑)社会勉強だってば。』


年の差とか、母の友達とか、
そういうことに関係なく、
俺に心をさらけ出してくれることが、
単純に、嬉しかった。
俺でもちゃんと、大人の役に立てる。

『…どこまで話したっけ?』

『手を払われたとこ。』

『あぁ、そうだったね。
…私、すごく傷ついたつもりだったのに、
だからといって
翌日から何かが変わるわけでもないの。
朝御飯作って夫を送り出して、
掃除して洗濯して、
ワイドショー見ながらお昼ご飯食べて、
とりあえず二人分の晩御飯作って。
…息子一人いなくなっただけで、
とたんに時間があり余っちゃうのよ。
だから、あんなこと言われたのに
夫が帰ってくると話し相手が出来て
嬉しくて、話しかけるでしょ。

だけど夫は
テレビ見て飲みながらご飯食べてて、
返事もホント、適当。
彼が笑うのは、私に対してじゃなくて
テレビの画面の中に対してだなーって。

私も、悪いんだと思う。
息子がいた時は、息子最優先にして
夫を放っておいたようなものだから。

だから、やり直したかったんだけど。』

…もはや、俺が口を挟む隙すらなく、
言葉はトロトロと流れていく。

きっと、誰かに話したかったんだよな。

いいよ。俺が、全部、聞く。

全部吐き出して、
また、笑ってほしいから。

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