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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




綾ちゃんは、
俺が渡したグラスの水を少しだけ飲んで
はぁ、っと息をついた。

『いっちゃん、
酔っ払いの扱い、慣れてる~。』

『飲み屋の息子だからね。』

『…静は立派だもん。
こんな姿、見せないでしょ?』

確かにそうだ。
仕事柄、飲んで帰ってくることはあるけど
悪酔いしてる姿は、記憶にない。

『綾ちゃんが酔ってるのは、俺のせいなの?』

『…そう。いっちゃんのせい。』

『よくわかんねぇけど、じゃ、謝る。ごめん。』

『うそ。いっちゃんのせいじゃない。』

『なーんだ、謝って損した(笑)』

…ちっちゃい頃から、
たくさんの大人といつも晩飯を食ってきて
酔っ払いもたくさん見てきた。
だから俺は割と、(高校生にしては)
酔ってる人には免疫がある。

そして、知ってる。
日頃、シャンとしてる人は
時々こうやって、酒の力を借りながら
自分を解放してバランスをとってること。

生粋の酔っ払い(笑)は
面倒くさいこともあるけど、
むしろ、見ていて安心する。

…完璧じゃなくていいんだ、って。
弱い姿を見せてもらえるのは、
信頼されてるってことなんだ、って。

母さんは、
俺に弱いところを見せたことがない。
いつだってちゃんとしてて、
それが少し、シャクに障る。
…文句の言いようがないし、
俺を信頼してくれてないみたいで。

『ね、いっちゃん、』

『ん?』

『この店の名前の意味、知ってる?』

『知るわけねーじゃん。』

ついさっきまで、
店を出してることも知らなかった。
場所も名前も知らないまま、
ここ探すのがどんだけ大変だったことか。

『当ててみて~。』

『んー、』

…改めて、思う。
俺、綾ちゃんのこと、なんも知らない。
あまりに思い付かないから、
適当に答える。

『コーヒー、の、K?』

綾ちゃんが、一瞬、キョトンとする。

『…なら、Cじゃない?
Coffee、でしょ?
まさかのローマ字読み?K,O,H,I?』

『…あ、そっか。』

ケラケラケラッ、っと
笑いがとまらない綾ちゃん。

『そんなんで、受験、大丈夫?』

『ダメかも。そん時はここで働かせて。』

『コーヒー、飲めないのに?』

『…ダメだな。』

『ダメよね。』

二人で顔を見合わせて、大笑いした。


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