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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




綾ちゃん、怒るかな…
綾ちゃん、呆れるだろな…
さっさと帰れって、追い出されるよな…

今日、2往復目のエレベーターは
あっという間に4階に到着する。

迷わずたどり着く店の前。
"K"の看板…というか表札…を見て、
心に気合いを入れ、一気にドアを開けた。

『綾ちゃん、ごめん、
俺、スマホ、忘れてるだろ?
それ、取りに来ただけだから。』

何か言われる前に、こっちから言い訳。
まっすぐ、カウンターに向かい、

『あったあった…』

スマホをポケットに押し込み、

『じゃあ、』

あれ、
早く帰れって叱られるかと思ったのに、

『綾ちゃん?』

叱られるのはイヤなのに、
シカトされると調子が狂う。

『んー?』

てっきり、カウンターの中で
片付けをしてると思ってたから、
予想しなかった後ろから声が聞こえてきて
びっくりする。

『綾ちゃん?』

声がした方へ。
本棚の影の、二人がけのボックス席。

ソファに深々と腰かけて、
グラスを手に持つ綾ちゃん。
目の前には、ウィスキーのボトル。

少し赤い顔で、トロンとした目付き。

『…飲んでんの?』

『…いっちゃんが、悪いんだからね。』

『俺?』

『急に来て、
学校の楽しい話なんか聞かせるから。』

俺がここを出てから、
そんなに時間、たってないのに。
もう、酔ってる。

『…綾ちゃん、
酒、そんなに強くないんだろ?
ストレートで飲むなよ。』

『大人に、説教?』

…一応、夜の街界隈で育ってっから
酔っ払いにも、まぁ、慣れてる。

『…チェイサーは?』

『…少し飲むだけだもん。そんなのいらない。』

あぁ、これ、
放っておくと悪酔いするパターン…

『ごめん、勝手に入るよ。』

カウンターの中に入って、
グラスは…これでいいか、
あと…ミネラルウォーターと、氷。

…準備しながら見る限り、
客に酒を出してる雰囲気はない。
ここは純粋にコーヒーの店で、
きっとあのボトルは、
綾ちゃん個人のものだ。

『ほら、これ飲んで。』

チェイサーのグラスを渡し、
向かい側のソファに座る。
テーブルの上のウィスキーの瓶は、
俺の方にぐっと引き寄せて。

…帰るどころじゃなくなった。
あんまり、飲ませないようにしないと。


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