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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




『…試合、残念だったね。』

何から話そうか迷ってしまって
俺が口ごもっていたら、
綾ちゃんから、そう切り出された。

『知ってんだ。』

『うん、静が教えてくれたよ。
いっちゃんも大活躍だったって。
すごーく熱い試合だったんでしょ?』

『…まぁね。』

『相手、強いチームだったの?』

『…え?』

なんか、新鮮な会話だった。
俺の回りの人間は、みんな
そこそこバレーのことを知っていて、
青城と烏野の今年に入ってからの
因縁のあれこれなんか、
わざわざ話して聞かせる必要がない。

最後の試合のことなんか、特に
みんな、気を遣って口にしないし。

『…それがさ、
去年までは、全然、格下のチームだったんだよ。』

『へぇ?!なのに、なんで?!』

いたって普通の問いかけが
あまりにシンプルで、びっくりした。

話して、いいんだろうか。

本当は言葉にして吐き出したかったのに
わざわざ言う場面がなかったあれこれ…

あの試合で、

驚いたこと、
ゾクゾクしたこと、
負けた瞬間のこと、
その後のこと、

…今までこんなに
バレーについて語ったことがない、
というくらい、言葉が次々、出てくる。

その度に綾ちゃんは、

へぇ!とか
なんで?とか
それでっ?!とか
信じられない!…とか

真っ直ぐで新鮮な反応をしてくれるから
俺も嬉しくていっぱい喋ってしまって、
そして、

『ね、勝ち負けじゃなくて、
青城のみんなの3年間に、乾杯しよう!』

と、
綾ちゃんは自分にアイスコーヒーを、
俺には残ったコーラを注いでくれて
グラスをあわせた。

カチン、カラン。
グラスの音と、氷の音。
…そして、一瞬の静寂。

『あのさ、』

『ん?』

『母さんは、この店のこと、知ってるんだろ?』

綾ちゃんは、急に
表情を硬くして黙ってしまう。

『なんで、俺に教えてくれなかったんだろ?』

『…いっちゃん、もう遅いから、
それ飲んだら、帰りなさい。』

『なんで?』

『明日、学校でしょ。
子供が出歩く時間は過ぎてる。』

『子供じゃねーし。』

『…未成年は、
こんなとこで夜遊びしてちゃダメ。』

『遊びじゃねーよ。ちゃんと、』

ちゃんと、
用があるから、ここまで来た。

探して探して、やっと、来た。

『…まだ、』

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