第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)
…そう、立ち止まってる暇は、ない。
及川に相談?!したそのすぐ後、
部室に戻る途中の校舎の入り口に
彼女がいた。
俺の姿を見つけて、
小さく手を振ってくれたから
俺も手を振り返したら、
及川がすかさず突っ込んでくる。
『リア充、見せつけてくれるじゃん!
でも昨日は結局、未遂だったんだよね?』
『あぁ。』
『つまり、脱がせたのに、
最後までシてないんだよね?』
素直に認めるのもシャクだけど、
ここで見栄を張るのはもっとカッコ悪い。
『だな。』
『ふーん、じゃ、次こそリベンジじゃん。』
及川も手を振る。
彼女がペコリとお辞儀をした。
『…素直そうだけど、どっちかというと
痛い痛いって騒ぐタイプに見えるな。』
『(苦笑)ヒトの彼女見て、
変な妄想すんの、やめろよ。』
『妄想じゃなくて、アドバイス!
…あーあ、ニコニコ幸せそうな顔して…
うん、あれは間違いなく、
奪われるの、待ってるね!
もう、少々ぐずられても、まっつん、
ためらわないで、イッキに挿れちゃいな!』
『えらくストレートなアドバイス(笑)』
『なんなら今夜、キメちゃえば?
そしたらみんな、スッキリするじゃん。』
『みんな?』
『みんな、だよ。
早く処女捨てたい彼女も、
早くモノにしちゃいたいまっつんも、
早くバレーに集中して欲しい俺も。
…あ、まっきーにだけは言わないで。
まっきー、彼女のこと大事にしすぎて
キスから先に進めない、
誠実純情チェリーボーイだから。
まっつんが処女の彼女と
バコバコやったなんて聞いたら、
敗北感で、多分相当、ダメージくらう。』
『及川、その心配は
キャプテンの仕事の範囲、越えてる(笑)』
『いや、俺は勝つために万全の配慮を…』
『お前ら、おせぇぞ!』
部室棟の2階から、岩泉の声がする。
『ダラダラしてねぇでさっさと着替えろ!
もう、鍵、かけるぞ、あと5分!』
『岩ちゃん、待って!一緒に帰ろうよ!』
『うるせぇ、俺は、グズは嫌いだ!』
『もう、岩ちゃん、素直じゃないっ!』
毎日毎日、似たような繰り返しに
懲りずに文句を言い続ける岩泉も、
まったく凹まない及川も、すごい。
『お前ら、お似合いだよな。』
『俺と岩ちゃん?そうかな?
ね、その場合、どっちが男役?』
…そういう問題じゃ、ねぇし(笑)
