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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




まさか、綾ちゃん?!
…のわけがない。
俺が綾ちゃんの番号もアドレスも
知らないのと同じように、
綾ちゃんも、俺の番号を知らない。

知りたいと思ったことが、なかった。

だって、
ここに帰ってくれば、いつも会えたし、
急にいなくなるなんて思わなかったし。

さっき駅で別れた彼女からかも。
そんなら、出なくちゃな。
…ラブホで、
あんな終わり方、してしまったし。
きっと、複雑な気持ちで帰っただろう。

なり続けているスマホを
ノロノロと持ち上げ、
液晶画面を見てみると、

母さん?!

あわてて通話に切り替える。

『何?』

『あぁ、一静!元気なのね?』

…元気?まぁ、病気じゃないけど。
母親の声を聞いたら、
なんかいろいろ、腹が立ってきた。

そもそも、
俺に言わなきゃいけないことがあんのは
母さんの方じゃねぇのかよ?

『着信、間違いだから
折り返さなくていいって伝言したのに。
伝わってない?』

『ううん、聞いた。
着信気づけなくて、ごめんね。』

仕事中だから、そうしょっちゅう
スマホは見ないとわかってるけど、
わざわざ言われると、カチンとくる。

『じゃ、何?』

『伝言聞いたら、却って気になっちゃって。
携帯にも店にも電話してきておいて
"何でもない"なんて言う子じゃないから、
よっぽど具合でも悪いんじゃないかって
心配になったんだけど…
そのグレた態度なら心配ないみたいね(笑)』

笑うな。
俺にとっちゃ、おおごとなんだよ。

『で?用件、何だったの?』

聞けばいい。
"綾ちゃん、いないんだけど"
ほんの三秒くらいの言葉だ。

でも、
それで電話した、と思われるのは、
なんだかイヤで。

今まで、どんなに困っても
仕事中の母に電話したことないのに、
高3にもなって
"綾ちゃんはどこ?"なんて用事で
わざわざ電話したと思われたくない。

『別に。ホントに、かけ間違いだから。』

『…そう。ならいいわ。』

"ママ、ちょっといいですか?"
電話の奥から声が聞こえる。
"はーい、すぐ戻ります。"
通話口を押さえて答える母。

『じゃあね、』

『ん。』

…意地張らないで、聞けばよかった…
そう後悔しかけた時。

『ぁ、そういえば一静、』

遠くなりかけた声が、
もう一度、近くなる。

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