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欠落した子

第7章 7




次の日は雨が降っていた

ザァァ…

容赦のない雨が振り続ける

雨か…

それを窓越しから見つめるだけ

「………嫌な雨」

まるで何かを待っているような

まるで止めるような

そんな雨…

まみはそう思いながら膝の上で眠る高杉の頭を撫でる

「…雨は嫌いか?」

眠っていたはずの彼が起き聞かれる

「洗濯物が乾かないですし…」

いきなり聞かれた為ふと思ったことを口にする

「洗濯物ねぇ…まるで人妻みたいなことをいうんだなまみ…」

「今はお世話になっているところで家事もしていたので」

「そうかぁ…そりゃそういう思考になっても仕方ないな」

すると膝の上で寝ていた高杉は起きあがり煙管を取り出し刀を挿し部屋から出る

「…晋助様?」

お出かけでもするのかと思いそのまま居るまみ

「…行くぞまみ」

「…?はい」

すぐさま起き上がり高杉の元に行く

「……………………」

「?」

じぃと高杉に見つめられる

「…あの何か…「好きだ」…ぇ…」

高杉からその言葉を聞き驚く

「し、晋助様…」

「お前を離したくない…」

ぎゅぅ…と力いっぱい抱き締める

その手は少しだけ震えており

まるで大切な人にどこか行って欲しくないからという風にも受け取れる…·

「私もです…私も晋助様と離れたくない…」

まみも答えるように高杉を抱き締め彼の体温を感じる

どうか

どうか…

このまま彼の傍にいさせて欲しい…

だってそう

彼の傍に居れば私は寂しくない…

もう離さないで行かないで

一筋の1粒の涙が彼女の頬を優しく濡らした
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