第7章 空想の森~幸村~
幸村は、紅音が泣き止むまでずっと撫でていた。
紅音の髪は、柔らかく……本当にずっと子供の頃から、ここの小屋にいたのかというほど綺麗かった。
「幸村さん・・・」
「幸村」
「え?」
紅音は、顔をあげる。
「幸村って呼べ。ほら。」
「えっ?じゃあ、幸村。」
「ん。」
「幸村、ありがとう。私をここから出してくれて。」
紅音の笑顔は、化け物と呼ぶ男どもに見せつけたいぐらい可愛らしい笑顔であった。
(・・・・っ。調子狂うだろうが。)
幸村は、立ち上がると紅音を背負う。
「じゃあ、行くか?」
幸村がそう聞くと紅音は笑顔いっぱいに
「はい!」
と返事をした。