第1章 かげろうでいず〜家康〜
家康と日和は、反物屋に来ていた。
(日和……楽しんでいるな。)
家康は、外から日和の様子を見ていた。
そして、空を見上げる。
(もう、昼時か……)
家康は、中にいる日和に声をかける。
「日和!そろそろ帰ろう!」
「あっ!うん!わかった。おじさん、この反物ください!」
日和は、お会計を済ませて出てきた。
「家康、ごめんね。」
「本当に。」
と家康は笑みを見せた。
家康は、日和が買った反物を取り上げると、歩き始める。
日和は慌てて家康の隣に並ぶ。
「………家康!聞いてる?」
「隣で、大声出さないでくれる?」
(嘘。ちゃんと聞いてるよ。)
と家康は、まだ天邪鬼なのだ。
家康と日和は、大通りを通って帰っていた。
「あの猫……危ない……」
と日和が呟いた。