第3章 人形卍ばーすと〜謙信〜
ぐっ!
謙信は刀の鞘で『織田の舞』のお腹を叩きつける。
「ぐはっ!」
『織田の舞』は倒れ込んだ。謙信は、隙を作らずすぐに『織田の舞』の上にまたがる。そして、刀を突きつける。
「・・・・・っ。」
しかし、謙信は殺せなかった。
「早く殺ってよ!!」
と『織田の舞』が言うが、謙信は無理だった。
(このやに似ているが……こやつは……織田の家臣だ。……早くこ……コロセ)
だが、謙信の手は動かなかった。
「早く……殺してよ……」
と『織田の舞』が泣いた時、スルッと『織田の舞』の懐から"何"かが落ちた。
「こ、これは……っ!」
謙信は、疑った。『織田の舞』の懐から落ちたのは、昔このやに贈ったあの短刀なのだから。
謙信は、その短刀を取ろうとする。
すると、
「や……やめて……それだけは……。」
と短刀に手を伸ばす『織田の舞』。
(なぜ貴様がこれを…)
そして『織田の舞』は叫んだ。
「謙信様からくれたものを返して!!!!」